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第19話

俺は今朝から代わる代わるやってくるヒト達の言いなりになっていた。 「儀式」と言うだけあって、それなりの準備が必要らしく… 何だか良い匂いのお風呂に入れられた後、カラダの隅々までを念入りに洗われて… あっ、流石にソコらへんは懇願して自分でやったけど… 今は訳のわからない模様を全身に描かれている。筆が肌をなぞる感覚に変な声が出ると、隣で同じ事をされている亜嵐がニヤニヤしていた… 「何か久しぶりな気がするな?」 「えっ?俺の裸?」 「違うっ!…亜嵐とこうして近くにいるの…」 「二琥寂しかった?…ごめんね?…俺二琥の側にいると、イロイロと我慢する方が辛くて…わざと忙しくしてたんだ…」 「っ!…ってか、これって何描いてるんだよ?」 「さぁ?…多分雰囲気じゃね?」 「雰囲気…?」 「っそ!…鷲尾すっごい張り切ってたから…こういうの「儀式」っぽいじゃん?」 「…じゃあ…特に意味は…」 「ないね♪」 「まじか…」 「でも何か一生懸命準備してたから、我慢してやって?」 「…うん」 そういえば「普通の結婚式」だって、本人達の為だけじゃなくて、育ててくれた親とか親戚とかの為でもあるって聞いた事があったな… 「はっ!そういえば、亜嵐のとーさんとかーさんは?…今日呼んだの?」 「えっ?…来ないよ?…ってか、とーさん達にまで見せるとか…」 「あっ…そっか…そうだよな?」 「まぁあの二人には落ち着いてから、会いにいこう?」 「うん…」 「あれっ?もしかして今日…以外と二琥の方が乗り気?」 「っ!乗り気じゃねーよ!」 「だよな?…ごめん」 「違っ!…また…そういう意味じゃなくて…なぁ?そのテンションやめて?」 「ごめんて…わかってるよ…でも何か緊張してきて…変なカンジ…」 「え?…亜嵐…緊張すんの?」 「二琥…俺だって緊張するよ…」 「そっか…そうだよな…あっ、そうだ…ねぇ?…亜嵐忙しそうでちゃんと聞けなかったけど…そもそも俺達のセックス披露して…力を示すとかって…どういう仕組みなの?」 「うーん…そうだな…俺が興奮したりすると、色々変わるじゃん?」 「肌とか角とか?」 「そうそう…俺、この人間の姿の方が気に入ってるから、こっちでもこのままいるけど、本当の姿はあっちなんだよね…」 「っ…そうだったんだ…」 「そう…そんで、あっちの姿だと魔力全開に出来るから…それだけでも普通の魔力の奴らは十分従うけど…俺が興奮すればするほどその効果が増して…」 「増して?」 「まあ、逆らうやつはいなくなるだろうね?…それに俺らはさ、やっぱ婬魔じゃん?…だから怒りとかの興奮よりも、性的な興奮の方が良いわけで…それに…」 「なんだよ?」 「お祝いごとだから、サービスってか余興的な意味を含んでて…」 徐々に亜嵐の説明は弱々しくなり、最後は言葉を濁された… とてつもなく嫌な予感がしたけど、ここまで来てやめるわけにもいかないし、俺はその先を問い詰めることはしなかった… 「まぁ、いいや…俺は…亜嵐に任せてて良いんだよな?」 「うん…」 何だかわからない模様が全身に描き終わると、じーちゃん達が入ってきて、皆で記念に写真を撮った… 俺達が全裸に模様が描かれているのを除けば、それはまるで結婚式の家族写真のようだった… ………… …… 肌触りの良いバスローブを羽織り、あのステージの真下だという場所に来ると、頭上には大勢の気配を感じる… いよいよここまで来てしまって、どうしようも無いのだけど、心臓が口から出そうという表現を絶賛体感中だった… 「二琥?…大丈夫?」 心配そうに俺を覗きこんだ亜嵐の顔も、何だか少しひきつっている様に見える… 「大丈夫…じゃないけど…亜嵐も緊張してる?」 「うん…今が一番…ヤバイかも…」 「ははっ…亜嵐が頼りなんだから…」 「っ…だよね…っあ、そうだ二琥…これ…飲んでおいて?」 亜嵐が小さな小瓶を取り出し手渡してきた… 「何?…これ?」 「っ…その…気付け薬…みたいな?」 「気付け薬?」 「二琥…っほら、気持ち良いと…とんじゃうじゃん?…今日は…それ…まずいんだよね…」 「まじか…」 意識を失ってしまえば、恥ずかしさも感じずに終わるかもという淡い期待は打ち砕かれ… 俺は正気を保ったまま、儀式に挑まなければならないようだった… その時頭上からは地鳴りのような歓声がして… いよいよ俺達は登場しなければならないらしい… 小瓶の蓋を開ける手がちょっとだけ震えたけど、俺はそれを一気に飲み干した… せり上がる舞台の上に二人で乗ると、観客のカウントダウンが響いてきた… 「…ヤバい…二琥…」 「っえ?亜嵐?…まじ?大丈夫?」 「…俺っ…緊張通り越したら…」 「んへ?」 「興奮してきちゃった…」 ここ一週間嗅がなかっただけで、既に懐かしく感じる匂いが強く立ち込め… 亜嵐はバスローブを脱ぎ捨てると、その姿は完全に変幻している… 「っえ?亜嵐…何かいつもより大きくない?」 「ん?…っはぁ…二琥…ココのこと?」 「違っ…全体的に…って…あっ…」 全くその力を制御していないせいか、亜嵐は一回り大きい気がした… 亜嵐の指差したいきり立つソコも、確実にいつもより大きい… 「くふっ…二琥…愛してる…」 うっかり開けたままの俺の口を亜嵐の唇が塞ぎ、その舌が久しぶりの俺を確認し始めた時… カウントダウンがゼロを迎えた… 俺達はそのまませり上がった舞台の中心で大歓声に包まれる… 「んくっ…亜嵐…もう…」 久々の亜嵐の舌はねちっこく俺の舌を絡み取り… 足元や舞台を取り囲んだ大勢の前に、バスローブ姿の俺と、真っ裸の亜嵐が絡んだまま晒されても、それはまだ続いていた… 歓声は一段と大きくなり、雄叫びや悲鳴に混じってピューピューと指笛が鳴っている… 思わず今の状態を俯瞰した俺は、目を開けるのを躊躇っていたが、亜嵐は俺らが既に登壇しているのに気が付いていないかのように、俺を味わい続けていた… 俺は亜嵐の肩を叩きながら、思わず目を開けて亜嵐を見上げた… 亜嵐は恍惚とした表情で、じっとりと俺を見つめている… 「…っは…亜嵐っ?…ねぇっ…もう始まって…」 「ん…二琥大丈夫…このまま…」 「っえ?」 こんなに多くの視線を感じているというのに亜嵐は、いつも二人きりでシテいる時と同じように長い指を俺の首筋に沿わせた… 渦を巻いた蔦のモチーフが描かれた俺の首を、亜嵐の指先がそっと辿る… 「…んくっ…」 快感が下半身へと走り、膝の力が抜けそうだった… 無意識に亜嵐の指から逃げようと後退りすると、背中が何かにぶつかりこれ以上進めない… 「…っえ?」 「二琥…見て?」 驚いた俺の顔を見た亜嵐がニヤリとして、俺の向きを変えながらバスローブを剥ぎ取った… 俺は立ったまま見えない壁に裸で押し付けられて、亜嵐はそんな俺を後ろから包み込む… 「…これも…鷲尾のアイディア…くくっ…二琥支えが無いとすぐ崩れちゃうから…」 「んはぁ…亜嵐…どうして…」 「ん?何?」 「さっきまで…一緒に…緊張して…」 「だから、さっき言ったじゃん…緊張してた分…興奮が…すごいっ…だって、二琥も良く見えるでしょ…ほら…俺らの事見て…みんな…」 亜嵐の言葉に足元のアリーナ席に視線を落とすと、そこに居る様々な肌の色のヒト達は、亜嵐の様に角が生えたり羽があったり… その視線はこちらに集中していて… ただ、皆一様に何も身に付けておらず、自分のソレを指でなぞり始めていたり… 隣り合う者どうしで触りあったりし始めていた… 「あんなに興奮して…っはぁ…こっち見られてる…」 亜嵐は俺の腰に当たっているモノを更に押し当てると、俺のソレを撫でまわす… 「そんなっ…亜嵐…」 「二琥はまだ緊張してる?…ごめんね…やっぱり俺は婬魔だし…こうして二琥のお陰で王になれるから…すげー…これ、興奮して…っはぁ…ヤバい…」 亜嵐の手つきにいつも通り反応を示し始めた俺のソレを、後ろから亜嵐のモノが刺激してくる… 目下ではその手つきに合わせる様に刺激を早めるヒトや、お互いを舐めながら視線をこちらに向けているヒト達もいた… 「…亜嵐っ…んっ…恥ずかしいっ…んあっ…」 「二琥…良いこと教えてあげる…この声も…二琥の声も…みんな耳元で聞こえる様になってるんだって…」 「んっ…いやっ…いやだぁ…」 「可愛いっ…二琥…いっぱい声だして?…皆悦ばせてあげよう?」 「んふーっ…んっ…ダメっ…亜嵐っ!…」 俺の先端が亜嵐の腰の動きで見えない壁にヌルッと擦れ、恥ずかしさと快感が俺の中で交錯していた…

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