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第8話
「じゃあ最後に、二人でデュエットしようか」
和哉は、古い曲を入力した。
「デュエット? 『銀恋』ですか?」
「そこまで古くないよ」
笑いながら和哉が選んだ曲は、今から30年以上前に流行ったものだった。
バブル期に、二人の大物男性アーティストが互いに作詞作曲を手掛けた、ヒットソング。
これまでデュエットと言えば男女が歌うものだったが、男性同士での掛け合いも話題を呼んだ。
和哉もリアルタイムでは知らないが、彼の叔父がこの歌を好きで、カラオケに行くといつも歌っていた。
それで、自然と和哉も覚えてしまったのだ。
(さすがに、これは知らないだろう)
そう考えていた和哉だったが、翼は難なく自分のパートを歌い始めた。
「あれっ? 知ってるの? 峰松くん、若いのにやるなぁ」
「次、渡さんの番ですよ」
参ったな、と和哉は歌った。
翼はサビのハモり部分もしっかり歌いこなし、室内は綺麗なハーモニーで満たされた。
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