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第3話 side 雪路
家に帰ってからも、ドキドキが止まらなくて、さっきまで触れていた唇が熱く、まだ触れ合っている感覚がしている。熱を持ってはれた唇を指先でなぞった。
今日を逃したら、もう二度と彼に触れられないと、わかっていた。だから、記憶に焼き付けるように、最後のキスをした。
しめった下着が肌に張り付いて、気持ちが悪い。ひとつため息を吐き、解こうと思っていたテキストをしまい、引き出しの中から便せんを取り出した。
何度も瞬きを繰り返しながら、窓の外を見る。
あの場で、降り続く雨と一緒に想いも溶かしてしまえば、こんなに胸が苦しくてつらい思いをしなくて済んだのに……。
号泣するように降り続く雨音をBGMに、筆を執った。
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