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俺のものだから ※
「だめだ。だって、理雄は俺のものなんだもの」
そう言って俺をそのベンチに押し倒して、有無をいわさず強引に唇にキスをしてきた。そしてその唇から舌を割り入れられ口腔をまさぐられる。
「・・ヤ・・」
その胸を押し返そうともがいても、その手は阻まれて、両手を手で押さえつけられる。汰一はもう片方の手で俺のシャツを捲り上げていた。
「ずっとこうしたかった。もっと早くに俺のものにすればよかったよ」
汰一の顔は俺の知っている汰一の顔じゃなかった。
「嫌だ!ヤメロ!!!」
ベンチは広い。後ろはコンクリでできた滑り台の壁。前は桜の並木に阻まれてここは公園の何処からも死角になっている。
辺りは夕方をすぎてどんどん暗くなっていっていた。
叫んでも公園には人気はない。
「大丈夫ここは誰にも見えないから……」
汰一の手は冷たかった。その手が肌を直接触っていく。捲りあがったシャツをたくし上げて、指がそっと胸の尖りを撫であげた。
「……ッ」
指の感触とともに来るその感覚に俺は小さく声を上げた。
「すごい綺麗な肌……こっちにはキスマークはついてないから…やっぱりまだなんだね…」
"よかった"
汰一はとクスッと笑って更に尖りにキスをしてきた。
そして俺の下肢に手を這わせ、そのまま、すっとジーンズの淵に手をかけて、釦をはずしして、ジッパーを下ろす…。
「・・・止めろッ!!」
俺は必死で暴れた。足をバタつかせ、それが脛に入ったらしく、汰一は痛そうに顔を歪めた。……一瞬、押さえつけている手が緩む。
その隙に俺は、汰一が押さえつけている手を振りほどいた。
「だめだよ理雄、暴れないで。俺は理雄に乱暴したくないんだから。でもね、そんなに暴れるとね」
そう言って顔を平手で打たれた。
――…瞬間、目の前が赤くなって、頭がくらっとした。……怖い……。
汰一の瞳の色はギラギラしていて汰一ではない……まるで何かにつかれているみたいで……。
「綺麗な顔にだって傷つけたくないんだ。でもね、理雄の所為だから」
ここはよっぽどじゃないと誰にも分からない。
人通りもあまりない。
だから助けを呼ぶにも出来ない。
だからどうにかするには自分でするしかない。どうやって……。
そして、もう一度。汰一は手を振り上げる。俺は腕を掴まれて逃げようもなく、再びくるであろう衝撃に身構えるしかない。
その時、何処か遠くで聞こえた何か……。
何?
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