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今更だよ
「何言ってるの?何で俺がカズヤとしないといけない?俺はアイツなんか別に・・・」
──…別に……俺は、カズヤの事を"何"だと思ってるんだろう?友達?
「結構、仲いいんだよね?だって、今日も一緒に車とか乗ってたし。だから言うよ、アイツは止めたほうがいい、遊ばれるよ」
「遊ばれる?」
「そう、アイツは"落とす"のを目的にしてよく遊んでるって聞いた」
「何でそういう話を俺に話すんだ?」
すると、汰一は俺の瞳を覗き込むように言った。
「俺は、理雄が心配だから」
「心配…?」
そうだ、いつも汰一がこうやって俺をガードしてきた。いつも……。だけど、今の汰一の話はなんだか釈然としない感じがする。
「でも、ソレは噂だろ?噂って少しの事が大げさに伝わる。そういうの俺自身が何度もされてるから分かる」
汰一はすっと目を細めて
「アイツの事を信じてるんだ?」
と言った。
「信じてるとかそういうんじゃない」
その瞳を見返す。
「でも、少なくとも、今の汰一よりかは…信じられる」
すこしの間。そして、俺は息を深く吸い込んで言った。
「……聞いていたんだよ汰一。"鷹山とできてる"ってクラスの連中に言って一緒に笑ってただろ?何でそんなこと……」
汰一の目が泳ぐ。
「……聞いていたんだ」
「その真意を聞くにも汰一は、それから俺をずっと避けてばかりだった」
「違うんだそれは……」
必死で言い訳を言おうとしている汰一。
「もういいよ……いいんだよそんなことは」
今更何を言われても離れてしまった心は戻れない。何もかも遅い。俺に触れている汰一の手を引き剥がして、立ち上がった。
「もう行くから」
「理雄っ!!もう一回俺たちやり直そうよ?」
俺は汰一を振り返って見る。
「……今更…だよ」
今度こそ振り返らずに行こうとすると……ぐっと腕を掴まれ、引き寄せられた。そして、そのまま汰一の胸に飛び込む形でよろけた。
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