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何で?

. "……どうして?" 1年と半年。汰一と話してなかった。だけど……。 「やめろっ」 俺は止めさせようと汰一の胸を押し返した。 「嫌だ」 汰一は抱き締めている腕を緩めようとはしなかった。そして……。コンクリートの壁に俺をそのまま押し付けて、唇にキスしようとしてきた。 「…汰一……何で?」 突然の汰一のこの態度に戸惑いを感じで激しく拒絶する。俺は首を捻って避けた。だけど、それが汰一の目の前に首筋を晒す事になった。その首筋に汰一の唇が触れた。 「もう自分を抑えるのはやめたんだ。せっかくまた会えたから……二度と離したくないから……だから」 「だから……って」 突然、汰一の動きが止まった。そして俺の首筋を指でそっと撫でると、 「キスマーク……」 と言った。 「……え?」 「キスマーク付いてる」 ……それ。 カズヤが付けた?よく覚えてないよ。だってカズヤにキスされた時はアタマが真っ白になってってそれで……。 「車に一緒に乗ったアイツが付けたの?アイツ、理緒のカレシなんだ?」 「──…違う」 「違うの?……じゃ、カレシでも無い奴にこうやって、誰でもキスをさせるんだ?理雄って、そういうヤツだったんだ?じゃ、俺だっていいんだよね?」 「違うっ」 「どう、違う?」 「だって、カズヤは……」 ──…カズヤは……何なんだろう?カズヤは俺に"好きだ"と言ってカレシになりたいって言った。でも俺はそれに答えてもいない。 ──それだけのやつ。それだけの。……本当にそれだけ? 「アイツ、カズヤって言うんだ?やっぱり」 「やっぱり?」 怪訝そうに聞き返す。 「そう、アイツの噂、聞いたから」 「噂?」 「アイツ、評判の悪い連中とも付き合いあるみたいだって」 「そんなの、別にどうでもいい。評判が悪いなんて言ってたら、俺なんてもっと悪い」 「それに、結構遊んでるし手も早い。理雄がアイツと付き合ってるらしいっていうのを聞いたから…だから見に来たんだ。そしたら……やっぱりだ」 汰一は急に黙った。そして、一息ついてから 「理雄はもう……アイツとヤっちゃった?」 そんな事を行き成り言った。 ……何…を言ってる?何でそんな事を言うんだ? .

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