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第54話

バタンっ 夕飯を作っていると風呂の方で音がした。 「春野?」 俺が慌てて風呂場に行きドアを開けると倒れシャワーに打たれながら荒い呼吸を繰り返す春野が居た。 「春野!大丈夫か!?」 「嫌!!こッ…な、いでッハァ…見なッいでッ…」 来るなだ?んなわけには行かねえだろ。 俺はシャワーを止めタオルで春野を包み抱き抱えて脱衣所に行く。 「大丈夫だ。ゆっくり息しろ」 「ハァッ…ハァッ…ハァ…」 「そうだ。」 だいぶ呼吸が落ち着いた春野を見るとその瞳には涙を浮かべていた。 「そ、蒼…。お、俺汚れちゃッ…」 「お前は汚れてねえよ?」 「だって…キスマーク…いっぱいッ」 キスマーク? 春野が手を震わせながら開いたタオルの中の春野の体を見ると服を来ている時は気が付かなかった赤いマークがあちらこちらに散らばっていた。 …っ 「ごめんッ…」 「謝るな。こんなもん俺が上書きしてやる。」 こいつ、これを風呂の鏡で見て自分を汚いと思ったのか。 俺がこんなもんで嫌になると思ってんのか? ふざけんな。 こんなもんあいつの感覚が無くなるくらい俺が上書きすればいい。 「蒼…ッ」 涙を零した春野に軽い口付けをしてからタオルを包み直し抱き上げ寝室まで運ぶ。 ベッドに優しくおろしてやると春野は少しびっくりしたようにこっちを見ていた。 「怖いか?」 俺がそう聞くと春野は首を横に振り 「怖くない…」 その言葉を聞き俺は春野の肌に唇を寄せ阪宮を付けられた痕の上に自分の痕を付けていった。 「んッ…」 肌に唇が当たる度春野の身体がビクッと反応して甘い声が漏れる。 この反応も声も阪宮が聞いたかと思うと怒りがこみ上げる。 「春野…いいか?」 「うん…もっと…」 忘れさせてやる。 あんな奴の感覚なんか。 高校生相手にこんなに必死になってこんなに本気になるなんて思ってもみなかった。

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