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第53話
ガシャーンと上から何が割るような大きな物音がした。
「なんや!?」
阪宮は慌てて上にあがっていく。
「…るの!は…の!」
よく聞き取れないけど上の階から誰かが叫んでいる声がけ聞こえる。
その声が何処か蒼に似ているような…
…そんな訳ないか。
ガタンっ
「春野!」
え?
「蒼?」
階段を見上げるとそのには待ち焦がれていた人。
1番会いたかった人。
「遅くなってすまない。」
蒼は謝りながら俺の元へ来て足のの拘束を解いてくれる。
足が自由になったと思ったらいきなり全身が何かに包まれた。
あ、俺今蒼に抱きしめられてるんだ。
でも、今の俺に蒼に触られる資格はない。
「蒼ッ俺、汚いから離れてッ…」
「汚くない。」
汚いんだ。
だって、俺は阪宮に…
「大丈夫だお前は汚くない。帰ろう、」
蒼はそのまま俺を抱き上げると上へ向かった。
蒼たちが入ってきた時に壊したのだろう、窓が割れていて、当たりには破片が散らばっている。
ふと、視線をそらすとそのには阪宮が倒れていた。
「そ、蒼… 。あいつ…」
「ん?気絶してるだけだ。怖いなら顔俺で隠しとけ。」
蒼の肩に顔を寄せると久しぶりに嗅ぐ蒼の匂い。
落ち着く…
それから俺達は車に乗り奏さんの病院に行きそのまま家に帰った。
「すまなかった。俺が守るって言ったのに守ってやれなくて。お前に辛い思いさせた。」
こんな蒼の顔はじめて見た。
「謝らないで?助けに来てくれてありがとう。」
俺がそう言うと蒼は少し安心した顔になる。
それから蒼は夕飯を作ってるからと俺もその間に風呂に入ろうと思って脱衣所に来た。
服を脱いで風呂の中に入りシャワーを出す。
ふと、鏡に映る自分を見る。
「…何これ…」
服を来ていて気が付かなかったがそのには阪宮がつけた大量のキスマークがあった。
鎖骨、胸、肩、腹、腰、それに足にまで。
「はぁッ…ヴはぁ…ッ…はぁッ…」
苦しい。息が出来ないし頭がくらくらする。
もう、自力で立っているのも辛い。
蒼はこれを見てしまっただろうか。
見られたくない。こんな汚くない俺を。
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