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第85話
「春野、起きろ。」
体を揺さぶられる感覚で目が覚めた。
「仕事に行くついでに奏のとこに行くからそろそろ準備しろ。」
蒼に起こされて出かける準備を適当にしてリビングに行く。
「お前、奏の所に行った後はどうする?学校には行かねえんだろ?」
「あー、何にも考えて無かった。」
「若の所にでも行くか?」
「いいの?」
「わかんねえから自分で確認してみろ。」
蒼に言われて千尋に電話をかけるとザ・寝起きの声で許可を貰った。
「真っ青じゃない!」
奏の所に連れてかれて腹を見せた時の奏の第一声がこれだ。確かにここまで青くなったことはあまりなかったかもしれない。
「でもまあ、触った感じ特に気になるところはないから一応塗り薬を出すわ。」
「ありがとう。」
「いいのよ!これが仕事ですもの!それより春野くん、貴方まだ高校生なんだからあんまり無茶しちゃダメよ?」
「はーい!」
それから奏とちょっと話してまた蒼の車に乗った。
「なんだ、まだ緊張してんのか?」
「いや、だってあそこ何度行ってもデカくて…」
そう、今俺達が向かっているのは佐嶋組。
外見は純和風な日本屋敷の様な感じだ。いや、外見だけじゃなく中もなんだけどとにかく広い。
俺も何度か千尋に会いに行ったことはあるけどたまに迷いそうになる。
「今日は俺が居るんだから何も心配するようなことはねえよ。」
そう言われても初めは緊張してしまう。
いつもは蒼とか千尋とかと一緒だから安心だけど、もしも他の組の人と会ったら色々面倒臭いらしい。
愁も慣れるまで時間が掛かったって言ってたし。
そんな事を考えている間に車は屋敷の前まで来てしまった。俺と蒼は車を停め大きな門を潜る。
「あ、多分この時間だと若まだ寝てるかもしんねえ。」
「そうなの?」
「ああ、」
蒼に連れられて千尋の部屋の前まで来ると蒼がドアをノックして、千尋のに声をかけた。
でも、千尋からはなんの返事もなくてさっき蒼が言った通りまだ寝てるらしい。
「どうする?幹部室ででも待ってるか?」
「いや、千尋の部屋で適当に待ってるよ!」
「そうか、くれぐれも若を迷惑をかけるなよ?」
「わかってるってー」
蒼が仕事を言うのを見届けると俺は軽くノックして千尋の部屋に入った。
暫く千尋が起きるのを待っているといつの間にか俺も眠ってしまっていた。
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