98 / 201

第98話 それ本当?

「お前たち煩いぞ。 静にしないか!」 先生の声と共に、 教室が静まり返った。 「お前たちは話を聞いていなかった罰だ。 二人そろって放課後職員室に来い!」 そう言って先生は、授業を再度進め始めた。 「ごめんね、赤城君 なんだか噂、変な方向へ行っちゃったね?」 そう謝る柴田さんに、僕は苦笑いするしかなかった。 放課後になり、僕と柴田さんは 先生に言いつけられた通り、 共に職員室に行った。 職員室に入ろうとした瞬間に、 隣にある生徒会室から 佐々木先輩が出てきた。 「お前、今日は部活動は無いのか?」 そう聞いて来る先輩に柴田さんが なんの遠慮も無く、 「先輩と赤城君って付き合ってるんですか? 今日、その事でクラス中で凄い噂になったんですよ」 と聞いたので、先輩が目で、 『本当か?』 と聞いてきたので、 僕はコクリと頷いた。 「また、どこからそんな噂が…… それに何故今頃……」 と先輩が言うと、 「今日ですね、 授業中に赤城君とコソコソ話してたら、 先生にちょっとからかわれちゃって! でもほら、先輩、体育祭の時、 赤城君と凄い近かったじゃないですか! その事が話題にすり替わって あれで皆すごい疑ってるんですよ~」 と、答えると、 先輩はあちゃ~と言う様な顔をして、 「いや、あれは誰が相手でも 俺はそう言う扱いをするよ?」 と柴田さんに説明すると、 「本当ですか~?」 と彼女も疑り深い。 「それに要は俺の幼馴染の 大親友だから、大切に扱わないと 後でひどい目にあうからな」 と明後日の方を向いて答えると、 彼女の目が光って 「それ、矢野先輩ですよね!?」 と尋ねた。 僕はお~そうきたか! と思ったけど、 先輩は感心して、 「君、良く知ってるね。 え~っと君の名前は?」 先輩がそう尋ねると、 「柴田香です!」 と、元気よく答えていた。 「ねえ先輩、先輩は矢野先輩に 彼女がいるか知ってますか~?」 と、ストレートに恥ずかし気もなく、 唐突に聞いたので、柴田さんにしろ、 カフェでのアプローチにしろ、 皆恋愛に対して積極的に行く事に僕は驚いた。 佐々木先輩がチラッと僕の方を見たので、 僕はジェスチャーで、 『そうみたいですよ』 と返事をした。 先輩は、 「君、浩二……あ、矢野浩二な、が好きなの?」 とストレートに尋ね返した。 「矢野先輩、奇麗だし、カッコイイし、 優しくって話し易いって評判ですよ。 それに、お家もお金持ちで、 お父さんは芸能関係なんですよね? そんな風に聞きましたよ~」 うわ~ クラスメイトで隣の席とは言え 凄いあからさまだな~ やっぱりここまでしないと 恋って成就しない? 女の子って恋愛に対して凄いパワーだな~ と感心していると、先輩が、 「浩二はやめておいた方が良いよ」 と言ったので僕はびっくりした。 「え~ どうしてですか~?」 彼女が可愛らしくホッペを ぷく~っと膨らましたので、 その可愛い行為を見た僕は、 女の子の強みが分かったような気がした。 僕がそれをやったら キモイとしか思えない。 でも、先輩は彼女の質問に何と答えるのか 凄く興味があった。 「君には浩二は扱えないよ」 それが先輩の答えだった。 ちょっとびくっりはしたものの、 うん、うん、僕の経験からいくと、 確かに先輩はちょっと恋愛として 付き合うのは難しいかもしれないと納得した。 良く変化球投げるし! 柴田さんも負けずに、 「え~ 何がそんなに扱いにくいんですか?」 と突っ込んで、どうしても答えが欲しいと言う様な風だった。 「あのさ、君が浩二を好きなのは君の勝手だけど、 浩二ね、好きな人いるよ。 それも、その人に熱烈に恋してるよ 恐らく、他の人なんて眼中に入らないよ。 そう言う面ではあいつは頑固だからね。 諦めた方が君の為だよ」 そう先輩が言ったので、 僕まで 「えっ?!」 と良いって先輩を見てしまった。

ともだちにシェアしよう!