思い出したくない、起き上がりたくない 「うげ、」 と、翌朝 少し痛む頭にもやもやする腹の中 そして、確かに残る記憶 漏らした気がする そして、何故か下半身がもこもこな物で包まれていた そして、それまでじっとりと湿っていた 現実を見たくなかった いや、おれもう29だし すぴぃー、すぴぃーと横で寝息を立てている 子供の下半身も俺と同じ白いもこもこしたものに包まれていて それももっこりと膨らんでいた 水分を吸ってパンパンになっている こいつが起きる前にシャワー浴びて仕事に行こう、といつまでも現実逃避しているより 実際にこの場から逃げ出すことにして そろり、そろり、とその場から離れ できるだけ音を立てないようにシャワーを浴びにいく 恥ずかしい下半身を包んでいた白いもこもこを外すと むわ、と懐かしい感じが広がってため息が出た この前、変な夢、 あいつに舐められた夢見たあと漏らしかけたけど… その時はギリギリ間に合ったからまぁセーフだとして 今回のこれは完全にアウトだ というか、この白いもこもこ以前にも 漏らしたし 思い出したくないのに覚えてるし おれ、そんな飲んだっけ… まぁひっきりなしにおれの飲み物を注いでくれたから知らず知らずのうちに飲みすぎてしまったのだろう できるだけ静かにシャワーを浴びてリビングに戻るとまだ子供は寝ていたから もう準備なんて会社ですればいいや、と スーツとか着替えを持って 髪も乾かずスウェットを着たまま家から出た どうせ出勤なんて車だから誰にも会わねえし まだ朝早い時間だから会社も人が少ないだろう 会社に着いて まだ薄暗い会社に入って とりあえずもうちょい寝てから着替えようと 社長室に向かい合鍵を使って社長室の鍵を開けた まだ、誰もいないと思ったからだ しかし、 鍵を開けようとしたのに かちゃ、という音は聞こえず おかしいな、と思いながらドアに手をかける 「あれ？シバ？どうした。こんな朝早く」 「…お前こそ、なんでいんだよ」 「なんでも何も俺の部屋だろ、ここ」 「なんでこんな朝早くからいるんだって話だ」 「昨日深夜に依頼あったから泊まったんだよ。この後帰ろうと思ってな」 「ふーん、」 「お前こそどうした。こんな時間にそんな格好でここ来るなんて」 「べつに。早く来ただけ」 「よく寝れねえの？俺もお前いなくなってからベッド広すぎて落ち着かねえんだけど」 「ふーん、しらね」 「冷たいねー」 「いい加減慣れろよ」 「つかなんで着替えてねえの？」 「まだ早いから寝ようと思って」 「いや、家で寝てこいよ。つかなんか家に居たくねえ理由でもあんのか？」 「………」 「なに、あのガキとなんかあった？まさか告られたとか」 「いや、それは大したことないけど」 「……は？」 「まぁ、いいだろ、べつに」 と、寝ようとしてるのに おれの髪を弄ってくる 「生乾きじゃね」 「あー、うん。乾かしてない」 「なんでだよ。ドライヤー持ってくるから待ってろ。風邪ひくぞ」 「そんなヤワじゃねえって」 と、いう俺の言葉は聞かずさっさと社長室を出ていったから俺はソファに座り一応待っている事にした 直ぐに戻ってきて コンセントを差し 温風を当ててくる 「つか、そういうのしなくていいから」 「なんで？」 「俺はもうお前のペットじゃねえし」 「ペットはどっちかが死ぬまで飼わなきゃいけねえんだよ」 「…もう、やめたんだよ。犬でいること」 「ふーん、」 と、温風を当てられ 髪を撫でられるのがきもちいい 気持ちよすぎて少しうとうとしかけた時だ 気持ちいいけど 僅かに残っているような二日酔いで頭がクラクラする まだ完全には乾かしきれてないかもしれないけど 諦めて横になった 「どうした？具合悪い？」 「いや、ちょっと」 「なに？体調悪いなら帰れば」 「大したことないけど。ちょっと二日酔い」 「ふーん、酒飲んだの？」 「うん、まぁ。」 「どこで？」 「家でだよ。関係ねえだろ」 「大丈夫だったか？」 「……なにが、」 「だから、漏らさなかったか？翌日に酒残すほど飲むなんて珍しいじゃん。最近のお前にしては」 「………」 「なに、やっちゃったの」 「………関係ねえだろ」 「もしかして布団ぐしゃぐしゃにして恥ずかしくてあのガキが起きる前に出てきたの？」 「ち、ちげえし」 「ちげえの？」 「…布団は、……よくわかんないけど」 「やっぱり漏らしたんだろ」 「あいつが、酒いっぱい飲ませてきたし。俺の腹押してださせようとしたから」 「で、おもらししちゃったのか？あんなガキの前で。恥ずかしいねえ」 「うるさ、ほんとうにうるさい」 「祈織もう大人なのにな」 「うっさ」 こういう時だけ 名前呼ぶなよ。ムカつくな、本当にこいつは 「起きてたの？寝てたの？」 「…半分くらい、起きてた。それで、漏らしてすぐ、寝た」 「だっさ」 「うっさいな」 「それで？片付けしてもらったの？ぐっしょぐしょになったスウェットとパンツ脱がしてもらって、へにゃへにゃのおもらしちんぽ拭いてもらって？お前の大事な後ろの穴も見られちゃったんじゃないの？」 「……なんでそんな意地悪言うの、お前」 「本当のことだろ？大人なのに恥ずかしいなあ」 と、言葉にされるとより一層恥ずかしくて 穴があったら埋まりたくなる 顔が熱い ソファに蹲り必至に視線から逃れようとする 「ソファとか大丈夫だった？」 「つむぎの、布団の。防水シーツの上だったから」 「つむぎ？あのガキ？」 「……うん、」 「そのうち犯されるんじゃねえの、あのガキに」 「…大丈夫だよ。あいつ童貞だし。多分ネコだし」 「…お前に、入れられてえんじゃねえの？」 「んー、そしたら、その時は考えるけど」 「お前、人に入れられんの？ここ最近俺の口の中にしか入れてねえんじゃねえの」 「…いや、そんな事ないけど」 つむぎの、口の中にも入ってたけど 「シバ、お前あのガキとどうなんの？」 「しらね」 「好きじゃねえの？」 「……まぁ、普通。ペットみたいなもんだし」 「お前なあ…」 「お前が、おれのこと飼ってたのと一緒だよ。単なる気まぐれだ」 「…俺は気まぐれのつもりねえけど」 と、言いながら当たり前のように おれのスウェットをぬがしにかかかるから 足で抵抗をする 「何してんだよ」 「いや、二日酔いで可哀想だからおむつ付けといてやろうかと」 「すっげぇ余計なお世話なんだけど」 「仕事中に我慢できなくなったら可哀想だと思った俺の優しさだけど」 「いや、お前の優しさというか甘やかしのせいでおれかなりトイレトレーニング頑張る羽目になったんだけど」 「シーバ。それはお前が甘えすぎたんだよ、とりあえず今日は履いとけ。まだ本調子じゃねえんだろ」 と、勝手に足からスウェットと下着を抜き取って 新たにおむつを通してくる 「もう、お前本当にやだ」 「なんだよ、そんな事言って好きなんだろ、俺の事」 俺だけが好きでも意味ねえじゃん。 ペットじゃなくなろうとしたら おれのこと、捨てたじゃん