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88 違う人

「あ……ごめん、イっちゃった」  アキラはうんうんと満足そうに頷きながら、俺の腹をティッシュで拭う。そのままそのゴミをポイっとゴミ箱の方へ適当に放ると俺の前髪を退かし額にチュッとキスをした。あまりに呆気なくイってしまったのが恥ずかしかった。 「乱暴にされるのが好きなの? それとも元彼はそういう(へき)のある人だったのかな?」  少し意地悪な言い方をするアキラに胸がキュッと苦しくなる。返事に困っているとアキラはまた俺の首筋に顔を埋め「俺のしゃぶって……」と囁いた。  顔を起こすとアキラも着ていたものを脱ぎ全裸になっていた。アキラの言動に優吾さんと重ねて見てしまったところがあったけど、その裸を見た瞬間、当たり前だけどやっぱり全然違う、と罪悪感を覚えてしまった。何かスポーツでもやっていたのだろうか? 程よく日焼けして筋肉がはっきりと分かる魅力的な体。そして目の前に突き付けられた反り勃つアキラ自身に俺は思わず息を飲んだ。 「なんか……凄いな」 「なにそれ? 褒めてくれてるの?」  ゆっくりと俺は口を開け、アキラのペニスを咥え頬張る。上手くできるだろうか。まだ少し緊張してしまう。それでも気持ちよくなってもらいたくて、俺は唾液を絡ませるようにしながら舌を這わす。どういうのがいいのかな? と、時折アキラの表情を伺う。その度に恍惚としたアキラが俺の頭を撫でてくれた。 「うん……上手。もっと強くていいよ……そう、気持ちいい」  顔に跨ってと言われ、アキラのしたい事がわかり羞恥で顔が火照ってくる。これは優吾さんとだってほとんどやったことがなく、その体勢は恥ずかしすぎるから嫌だと俺は無言で首を振った。 「ダメ……よく見たい。いい子だからほら……おいで」  そんな風に言われてしまえば抗う事も出来ず俺はアキラの顔に尻を向ける。ぐっと捕まれ、お望み通りの体位になった。 「恥ずかしい……」 「うん、よく見えるよ。エッチだね……おねだりしてるみたいにここ、ヒクヒクしてる……」  アキラの指が焦らすようにアナルの周辺をゆっくりと撫でる。いつその指がそこへ押し入って来るのかと、俺はやっぱり期待してしまう。そわそわと恥ずかしながらも期待が膨らむ。どうしても自分の下半身に意識が向いてしまった。 「あっ……」  突然尻たぶへ痛みが走る。すぐさまペロッとそこを舐められ、先程の鋭い痛みはアキラに噛まれたのだとわかった。 「ちゃんと舐めて。疎かになってるよ。気持ちよくしてくんなきゃ挿れてやらない」  ぺちぺちと尻を叩かれ、俺は慌てて目の前のアキラのペニスに貪りついた。  顎が疲れる……  雰囲気や言動に優吾さん重ねてしまい、こんなところまで来てしまった。いくら似てるとはいえ嫌でも優吾さんとは違うんだと思い知らされる。こうやって無防備な姿を晒してしまい、優吾さん以外のそれを受け入れたく期待している自分がなんだか違う人間のように感じる。自分なのに自分じゃない…… 俺は何をやってるんだろう。優吾さんのそれより遥かに長く大きなアキラの滾りを、出来るだけ唾液を絡ませ執拗に舐りながらぼんやりと考えていた。

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