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第41話

「あ、シバくんおはよう。スーツかっこいいね」 『おはよう、ございます…スーツ着ろって、あいつ…社長が』 「いいんじゃない?似合ってるしかっこいいよー」 出社すると朝からヤナギさんが褒めてくれた あいつは おれのことかわいいとしか言わなかったから かっこいいって言って貰えると少し嬉しかった 「シバー、ちょっとおいで」 と、ヤナギさんの後に付いて行っている俺の腕をつかみ 社長室に連れ込まれたから なんだよ、仕事中に、と少し不機嫌になってしまう 『なに』 「なにって仕事の事だよ」 『ふーん、なに』 「今日、ヤナギについて送迎の流れ見てきな」 『送迎?』 「外の仕事の子の送り迎え。免許取ったんだからそのうち送迎もやってもらう事になると思うし」 『ふーん、わかった』 「で、だ」 『なに、』 「だいたい基本コースで1時間からなんだがな」 『うん、』 「送迎係は、その間、もしなんかあった時の為にいつでも突入出来るように待機してなきゃなんねえ」 『うん、だから?』 「だから、ヤナギはおまえに構ってらんねえし」 『なに、言いたいことあんならはっきり言えよ』 「うん、だからなー。シバ、おむつ履いていって」 『……なんで』 「途中で行きたくなったら困るだろ、お前の為に時間とってらんねえし」 『行きたくなんない、むかう前にちゃんとトイレを行ってからいくし』 「今日場所ちょっと遠いんだよ。しかも今日、延長で1時間半コースだし」 『でも、』 「しーば、」 『なんだよ、』 「もし、我慢できなくなっちゃったらどうすんだ?」 『そんなこと、』 「ヤナギの前で、だらしなくおしっこ漏らして、新しいスーツびしゃびしゃに濡らしちゃったらどうすんの?」 『そんなの、』 「恥ずかしいのはお前だぞ、シバ」 『………』 なんで、そんな意地悪言うのかな 「シバ」 『ヤナギさん、スーツ似合ってるって、かっこいいって言ってくれたんだけど』 「…?そーなの、」 『おむつ、履いてんのバレたくない。かっこ悪いから』 だから、ちゃんとトイレいくし おれだって、そんな膀胱弱くないって 「あー、だったら、」 と、何かゴソゴソと端っこに積んであるダンボールをいじり始めた 『なに、』 「ほら、超薄型」 『……は、』 と、投げられたのは 超薄型、と書かれたパッケージのおむつ 「それなら履いてんのバレないだろ」 と、おれをソファに押し倒す 『な、やだ、』 「まぁ、いつものと比べて吸収率どうか確かめといて」 と、おれのベルトを緩め ズボンと下着をまとめて下ろされる 『な、そんな、履かないし漏らさない!』 「漏らさないならそれはそれでいいって」 と、足で身体を抑えられ あっという間におむつを履かされ スーツを元通りに戻されてしまう 『やなやつ、』 「俺はお前のためを思ってやってんだろ?」 『ヤダって言ってんのに』 「漏らさなかったらそれはそれでいいから。念の為」 『ヤナギさんに言わないでよ、おむつ履いてるって』 「……ウン、ワカッタ」 と、謎の間があったが ヤナギさんの所に送り出され 念の為、トイレに行ってから ヤナギさんの車の助手席に乗った 「シバくん、よろしくねー。じゃあ社長、行ってきます」 『お願いします、』 「おー、気を付けてなー」 車が発進すると すぐにヤナギさんが今日の流れを説明してくれた 「今日の朔弥くんなんだけど、」 『あ、はい』 「駅で待ち合わせしてるから1回迎えに行ってからホテルまで送迎する。その間にお客様情報説明してあげてね、あ、お客様情報はそのファイルの中に入ってるから」 と、指示をされ 後ろにあるファイルに手を伸ばして取る 『なんで、外のホテルなんですか?あの、前に閉じ込められた鏡張りの悪趣味な部屋は?』 「あー、あそこは体験ルーム的な感じかな?新規さんが体験で使うことが多いかな。2回目以降も希望があればあの部屋使うけど、だいたいは実際にお話したいお客様が多いから2回目以降はホテルとかになる事が多いんだ」 『へえ、』 「ホテルは何店か年とか月単位で契約してて、お客様のご希望によってその中のどっかのホテル行く感じかな、」 『なるほど、』 「まぁ、今日は朔弥くんもお客様も慣れてるし指名の人だから安心だよー」 慣れてる、とか指名とか よくわかんない世界だった 本当に、漏らしてんの見て興奮すんのかな 「あ、朔弥くんいた」 と、駅前でフードを被って携帯をいじっている人物の前に車を止めたヤナギさん 「しゃーす、柳瀬さん、とだれ?」 「シバくんだよ。そのうち送迎入ってもらう事になりそうだから今日は送迎の流れ見てもらうんだ」 『よろしくお願いします、』 「ふーん、この人送迎側なの?お客さんとか喜びそうな顔してんじゃん」 「シバくんは社長の紹介でうちで働いてるからキャストはやんないよ」 「へええ、いいご身分だね」 『な、そんな、』 「こら、朔弥くん。そういうこと言っちゃだめっすよ」 「へーへー」 「シバくん、気悪くしないでね?えっと、この子が朔弥くんね。確かシバくんと同い年だっけ。大学生だよ」 『へえ、』 「なに、お前も大学生なの?」 『えっと、おれは、ちがうけど』 「2人とも20歳くらいだよね?」 「俺はもう21だけど」 『…おれ、20です』 「じゃあ朔弥くんはお兄ちゃんっすね。シバくんに意地悪言っちゃダメだよ」 「…分かったよ。で、今日の人は」 「シバくん、説明して上げられる?」 と、ヤナギさんは運転しながら 資料の入ったファイルを指さしたから それを開いて読み上げる 『えっと、名前は田丸さん、で朔弥さん指名。基本コースプラスお茶の耐久コースでとりあえず1時間半予約です。耐久次第で延長可能、あとは希望でゆーくんって呼んでくださいって』 「朔弥くん、分かった?」 「分かったよ、っつってもいつもと変わりないでしょ」 「うん、まぁねー。お茶、そこの袋に入ってるから様子見で飲んどいてね」 「うぃー」 『お茶の耐久コースって、なんですか?』 「あー、ほら、あのお茶」 と、朔弥さんが持っているボトルのお茶を指さすヤナギさん 「なに、お前本社勤務のクセにお茶しんねえの。ださ」 「こら、朔弥くん」 『な、』 「たんぽぽコーヒーって言うんだけど、利尿作用が強めのお茶でね。それ飲んでできるだけ我慢しろってコース。たくさん我慢した方がキャストの方からしてもたくさんお金入るから我慢するし、お客様からしても我慢して限界の姿見れるから人気なんだ」 『へえ、』 やっぱり、ちょっと理解できない つか、そんなお茶あんのか こわー 「朔弥くん、シバくんはたんぽぽコーヒーのんで効果確かめてくれてるんだから意地悪言っちゃだめっすよ」 「へいへい」 と、言いながら ボトルを開けお茶を飲む朔弥さん あれ、あのお茶の匂い知ってる、 『……え?知らないです』 「あれー、社長からシバくんのデータって貰っ………あれー、あはは、勘違いだったかも」 と、明らかに誤魔化したヤナギさん くそ、あいついつの間に飲ませてデータって取ってたんだよ…… それ、おれ絶対漏らしてんじゃん 「ま、まぁ、朔弥くん。耐久頑張ってね」 「うぃー」 と、ホテルに付いて 朔弥さんをロビーのエントランスの前に下ろす 「ここからはしばらく待機ね。朔弥くんは、慣れてるから自分で行けるけど初めての子は人によっては一緒に部屋まで行ってあげてね」 『はい、』 「じゃあ待機してる間は連絡待ちつつ好きなことやってていいから。ちょっといろいろ説明しとくねー、」 と、言われてメモをだした でも、なんかそわそわした これから あの人がここでおもらしするんだって現実に おれ以外の大人が漏らしたの、見たこと無かったから

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