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第179話(終)

『んん、ちゅ、ちゅうぅ、』 と、風呂でお湯に浸かりながら かわいらしく俺にキスをしてくるシバ あー、かわい、とシバの尻を撫でながら キスに応える 『ちょ、ちゅうして、お尻撫でるんじゃなくてちゅう』 身体をすりすりと擦り付けながらキスをしてくるから先っぽが俺の腹に当たって 硬くなってきているのがわかる 『ちゅう、っ、んんっ、』 「してんだろ、ちゅう」 『んんっ、はぁ、ぁ、っ』 と、気持ちよさそうにキスをして ぶるり、と身体を震わせた そして、バスタブのお湯と少し違う温度の物が腹の辺りにじわじわと広がり 透明のお湯に少しだけ色がついて広がって薄まる 「わ、」 『ぁあ、っ、おしっこ、でちゃったぁ、』 「なんでおしっこでちゃうんだよ」 『…うれしょん、でた』 「なんで嬉ションしたの?」 『おまえと、ちゅうして、きもちよかったから、』 「へえ、かわいい」 と、シバの頭を抑えてもう一度だけキスをすると はぁあ、と気持ちよさそうに息を吐いたシバ 「シバ、体流して出よ。シバのおしっこまみれになったから」 『…そういうこと、いうなよ、お風呂出たら向こうでもちゅうする?』 「あぁ、すっげえキスする」 と、身体を流して リビングに行くと 飲み物、とシバが冷蔵庫の前に行くから 「お前今日、ちんちんゆるゆるだから一気に飲むなよ」 『なんだよ、ゆるゆるって』 「漏らしまくってんじゃん」 『…なんで、そんな意地悪いうの!』 「心配してんの」 『そんな心配いらないもん』 と、シバはぐびぐびと冷たいお茶を飲んだ 「あー、もう。一気に飲みやがって」 『だって、お風呂入ったら喉乾いた』 「お前寝る前のココア無しな」 『やだ、飲もうってさっき言ったじゃん』 俺もなんか飲も、とビールを出して飲み ソファに腰をかけテレビを付ける 「あ、チョコ食お」 と、テーブルの上に置いていた先程シバが投げつけてきた紙袋から箱を取り出す 投げてきたからキレイな箱の角が少し凹んでいた 『…それ、おれの』 「俺のだろ?どうしたの?これ」 『買った、銀座の百貨店で』 「ええ、あの催事場やってるやつ?」 『うん、人凄かった、戦場だった』 と、げっそりしながらいうシバ 確かに今日はバレンタイン当日だ 有名な百貨店のバレンタインの催事場だ きっと女子でごった返しているだろう そりゃ女の匂いもつくしファンデーションだってスーツに付いても不思議じゃなかった 「シーバ、俺の為にありがとな」 『…だから、おれが、食いたいから買いに行ったんだって』 返せ、とシバは箱を俺の手から取って 勝手に包みを開けるけど 「なんで?俺のだろ?くれねえの?」 と、聞くとぎゅ、と箱を握る 『なんで、おまえのって、』 「カード、入ってたから」 と、 飼い主へと表に書いてあるカードを裏返すと 裏の端っこには お前の飼い犬より と、書いてあり それを出すと シバは顔を真っ赤にする 『そ、それは、勝手に、お店の人が、』 「でも飼い主へって書いてあるじゃん。裏にも、」 『…それは、』 「シバ、くれねえの、チョコ」 と、聞くとシバは おずおずと箱を差し出した 『これ、……おれ、お前にあげようと、おもって』 「へえ、くれんの?」 『……うん、』 「祈織、すっげえ、嬉しい。ありがとう」 と、それを受け取ると シバはおれの脚の間に座ってきたから よしよし、と頭を撫で 一緒に食おうとチョコを開ける チョコレートは投げられたけど 1個1個区切られた箱に入っているから 大きく崩れることもなく 赤いハートのチョコが真ん中で輝いていた 「うまそう、」 『おれも、いっしょにくう』 「どれ食うの?」 『ハートのやつ』 「いや、それは俺のだろ」 『ええ、じゃあ文字書いてるやつでいいや』 と、別のチョコを取ったシバ 「うまい?」 『うまい、ちょううまい』 と、おいしそうにチョコを食べるシバ 良かったなー、と頭を撫で 他のチョコをひとつ食べた 「うん、祈織がくれたチョコすっげえ、うまい」 『だろ、』 と、耳が赤くなるのが見える 「シバ、すっげえ、かわいい」 『…なに、きゅうに、』 「うん、すっげえ、かわいい」 ちゅ、と耳にキスをすると シバがピクリと反応する 「…そういや思ったんだけど」 『なに?』 「せっかくカードくれんのに『飼い主』はねえだろ。名前書けよ」 『くがさん、』 「いや、『くがさん』も味気ねえ」 『いや、………だって、』 「なに?」 恥ずかしい?照れくさいか? まぁ、今更だしな 最近ようやくくがさんって呼ぶようになった位だし 『おれ、』 と、俺の脚の間で向きを変え 向き合うように俺の首に腕を回してきたシバ 「……なに、シバ」 『……おれ、お前の名前、知らない』 「…………は?」 え?いや、 「うそだろ、」 『おまえ、名前、おれに教えてくれてないじゃん、』 「いや、そうだっけ、」 言ってなかったっけ まさか、いや、もう1年以上一緒に住んでんじゃん 『うん、えっと……苗字は、なんとなく。書類とかで見たことあったけど……高校のジャージにも書いてたし、』 「あー、………うん、」 『でも、名前、知らない。文字は……なんとなく、見たことあるかな?……でも、読めないし』 「ええ、うそだろ、」 『だって、誰もお前の名前呼ばないし、』 「いや、まあ、そうかな、」 基本的に呼ばれるとしても社長だし 久我さんは受付とかでたまに呼ばれるけど 下の名前は呼ばれる機会ねえな… 『なぁ、お前の名前、なに?』 「……匡平(きょうへい)」 『へえぇ、…』 「…お前、知らないなら早く言えよ」 結構ショックだろ 今更知らないって 『……匡平、』 「なに、」 いきなり、呼び捨てか と、少し驚いた 『おれ、……、きょうへい、す…き、』 と、シバは腰を浮かせてキスをしてきた シバも俺もチョコを食ってたから すっげえ、甘いキス。 なんだそれ、 かわいすぎんだろ 『だから、おれのこと、責任持って飼えよ』 「今更だろ、そんなん」 と、今度は俺からキスをした

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