11 / 11

魔王様は救世主に形無し。

 まったく反省の色が見えない僕たちを叱責するルーファスの声は低い。僕たちはしどろもどろになるばかりだ。 「貴様ら……」  怒るルーファスの雷が落ちるのも最早時間の問題だ。僕たちの身体が強張る。  緊迫した空気の中、しかし万里は違った。細い腕がルーファスの袖を掴む。 「ルーファス、ルーファス」  袖を引っ張られて振り向けば、万里の唇がルーファスを捕らえた。リップ音が鳴る。 「おおおおおっ」  僕たちの声が城内に響く。 「貴様ら、少しは反省しろっ!!」  その日一日、僕たちは広大な魔王城の掃除を言い渡されたのは言うまでもない。  ★おわり★

ともだちにシェアしよう!