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セクハラ

カランカランとベルが鳴る。 「ただいまぁ・・。」 グレーのスーツ姿で 涼はぐったりと足を 引き摺りながら 店に入ってくると そのままカウンターの椅子へドカッと腰を下ろし デーンと突っ伏してしまう。 んー。 「・・ずいぶん疲れてるね。」 新は苦笑いを浮かべた。 この様子だと何か嫌な事でもあったかな。 今日は外も暑かったし 喉も乾いてるんだろうから・・ 「まずはビールがいいかな。瓶と生とどっち?」 涼は顔だけゆるゆると持ち上げ 「なまぁ・・。」と情けない声を上げた。 ・・はいはい。 冷えたジョッキを冷蔵庫から出し 生ビールを注ぐ。 綺麗な泡に満足し自信を持ってカウンターへ出すと 涼はジョッキをむんずと掴み ぐむぐむと一気に半分飲んだ。 今日のお通しの残りの切り干し大根を置くと それもあっという間に食べ尽くす。 あれ。 そういえば・・・。 「今日。会社の飲み会じゃなかったの?」 店の外の灯りを消し クローズの看板をかけて 戻ってそう声をかける。 いつもはもう少し帰りが早い。 とはいえ毎日忙しそうで可哀想だなとは 思っているけど。 「そう・・。でも途中で帰ってきちゃった。」 そう言って残りのビールも一気に飲み干した。 ・・・なるほどね。 何か気分が悪くなるような事があったって訳か。 じゃあ こういう時は・・・。

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