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「モヒートにしようか。」 グラスの中でミントとライム、砂糖を潰し 氷を入れてラムと炭酸。 ゆっくりとステアして出来上がり。 腹の中のモヤモヤがすっきり爽やか。 涼はグラスに口をつけると 「うん。美味しい。」と笑顔を見せた。 少し落ち着いたのかゆっくり口を開く。 「セクハラってさ・・・。」 「・・・セクハラ!?」 想像もしていなかった言葉が出てきて 思わず聞き直すと 涼はこれでもかと顔をしかめた。 「そう。セクハラ。今のご時世さぁ。 例えば女性に向かってなんで結婚しないのとか 恋人は?とか聞いたら即セクハラだって 言うじゃん。」 ああ。まあね。 「デリケートな部分だからねえ。」 そうっ! ドンっとカウンターを拳で叩く。 「デリケートな部分なんでございますよ!」 ・・なんで敬語? 涼ってたまに意味無く敬語混ざるんだよな。 口元が緩むのを感じながらも 黙っていると 涼は堰を切ったように話し始めた。 「うちのオバゴンがさぁ。言うわけ。 叶くん。なんで結婚しないの? いい年していつまでも一人だと何処か欠陥が あるんじゃないかって思われるわよ。って。 これってセクハラじゃねえのかよっ!」 ドンっとまたカウンターを叩く。

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