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これ言うと ケンカになるのはわかってんだけど。 「俺 結婚するつもり無いから。 一人の方が楽だし 子供も別に欲しくない。 姉ちゃんが義理の息子 咥え込んで戻ってんだし 孫も居るから 別にもういいだろ。」 自分で思っているよりキツイ言葉が 口から吐き出された。 何やらタッパーに詰めていた手を止め 母ちゃんは眉間にくっきりとシワを寄せる。 「あんたっ!」 「はいはい。ストップストップ。」 姉ちゃんが割って入る。 「この話 いつも喧嘩になるんだから。 涼ももうちょっと言い方あるでしょう。」 嗜めるようにそう言って ジロッと俺を睨みつけた。 「一人がいいってご飯だって新くんに作って貰って 掃除も洗濯もでしょ。何から何まで。 涼のは全然自立じゃないからね。偉そうに言うな。」 ピシッと鞭を打つように叱られる。 「それにうちの旦那の事 咥え込んだとか 一体どういうつもりで・・・。」 「静香ちゃん。喧嘩止めて 自分が喧嘩したら 意味無いよ。涼くんだってそういう意味で 言っているんじゃないだろうし。」 泰雄さんが慌てて割って入ってくれた。 俺のネクタイをブンブン振り回している愛梨を 抱き抱えると 俺に向かってニコッと微笑む。 この義兄はホント 良く出来た人で。 すいません。と頭を下げると いやいやと 手を振られた。

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