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現実

「新さん。これは・・。」 バーベキューグリルの上にはスキレットが 幾つか置かれ 涼介は缶ビール片手に それらを眺める。 新はニコニコと笑みを浮かべながら 一つ一つを説明し始めた・・。 「行くよ。」 朝起きて 身支度が完了すると 新に手を引かれ 店を出る。 店の前には新が持っている四駆が止まり ガチャっと助手席のドアを開けてくれた。 「はい。乗って。」 「ああ。うん。」 休日出勤の代休で連休を勝ち取った。 店の休みに合わせた所 新が 「デートプランは任せて。」って言ってくれて。 多分 旅行を計画してくれたんだな。 着替えだけは用意するように言われたから。 嬉しいなぁ。 なかなか休みが合わせられなくて 旅行も全然行けていない。 新は旅行好きらしく アメリカに居た時は バックパッカーとしてあちこち 放浪していたみたいで。 俺とは真逆の人生。 フツーに学校行って 新卒で今の会社に入り 海外旅行さえも行った事が無い。 行動的な新と保守的な俺。 でも。全然違うからこそ 知らない世界を 教えてくれる。 だから一緒にいるとホントに楽しいんですよ。 はい。 それに新は気遣いも完璧で。 すぐ人目を気にする俺を想って ドライブにして くれたんだろうな。

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