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「味には敏感なのに 俺の気持ちには
全然気づかないしさ。なんでこんな
鈍感なんだろうってホント苦労したんだから。」
恨みがましい声音でそう言うと
涼は恥ずかしそうにぽりぽりと頭を掻く。
「・・だってさ。新みたいにカッコいい奴が
俺なんかに興味持つとは思わないじゃん。
ハナからさ。それでなくても経験無いのに
相手にされないって思うのが普通ですよ。
まずなんで俺がそうだって気づいたんだよ。
俺。誰にもバレてなかったんだよ?」
ふん。と鼻を鳴らしパスタをくるくると
巻いて口に入れた。
岸さんはUターンを希望して 九州に転勤になり
俺たちがこうなっている事は勿論
涼がそうなのも知らない。
「また食べたいな。フリット。
俺は断然マッシュルーム派なんだけどね。
カリフラワーも旨いけど。」
懐かしむように視線を遠くへ向け
また一人うんうん。と頷く。
そうだね。
だけどどうせなら・・・。
「フリットはまた今度。違うマッシュルームの料理
食べさせてあげるから楽しみにしてて。」
そう言うと へ?とまた首を傾げた。
「いつだよ。」
いつでしょう?
ニコッと微笑み返し 涼の前に
テキーラトニックを置く。
通常より少しライムを多めに効かせた涼バージョン。
「デート。楽しみだね。」
そう言って 自分用に作ったテキーラトニックの
グラスを涼のグラスとカチンと合わせる。
何だろう。。と また首を傾げる涼に顔を近づけ
口の端についたカレーをペロッと舌先で舐めた。
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