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でも。ランチならある程度数見込めるとして
照り焼きなら 一品で夜も出せるしな。
単体で食っても絶対に旨い。
照り焼き以外にも この店なら使い道はあるし
定期で入れて貰えたら 少しは値引きも出来る。
極力双方に利がある形を目指したい。
先輩にはよく甘いって言われたけどな。。
今でもたまに嫌味言ってきたり
バカにしてきたりするヤツもいる。
でも。取り扱い店舗を増やせば 利益は出るし
そこそこ結果も出ていて。
今の上司の橘課長はその辺りわかってくれているから
前に比べたらホント助かっている。
とはいえ企業の勤め人としては 俺は
ダメダメですけどね。。
飛ばされない程度にしか おべっかも言えないし
媚も売れない。
森保さんは ふむ。と腕を組んだ。
「じゃあ。サンプルで糸唐辛子持ってきて。
お前の言う通り コストは軽視出来ないけどな。
それまでに桜井はもうちょっと考えてみろ。
黄身や温玉も試してみてな。」
はい。と桜井さんと同時に返事をする。
森保さんは優しい瞳を俺に向けると
うん。と頷いた。
なんだろ。
何か含みがあるような。。
ブルブルと携帯が震える。
画面を見ると 後輩の木崎からLINEが入っていた。
呼び出しかな。
「じゃあ。今日はこれで。予定またお伺いに
連絡します。糸唐辛子もコストの面
ちょっと確認してみますから。
ありがとうございました。」
おう。と森保さんに手を振られ 皆さんに会釈して
店を出る。
木崎からのLINEは即返電だった。
何かあったな。
車の中にするか。
駐車場に向かう背中に 涼さん。と声がかかる。
振り返ると桜井さんが 足早に近づいてきた。
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