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ぎゅっと抱きしめると 涼は手を叩くのを止め そろそろと腕の中で俺を見上げる。 どうしてこんなに優しいの。。 我慢出来ずに唇を押しつけ そっと離すと 涼は恥ずかしそうに へなっと微笑んだ。 頬を両手で押さえ 瞳を覗き込む。 「ありがと。。すごく嬉しいけど。 ホントにいいの?」 「いいに決まってんだろ。お前が俺に夢を 持たせてくれたんだからさ。」 何言ってんだ。とでも言うように 涼は唇を尖らせた。 夢。 涼が店で一緒に働いている姿が頭に浮かぶ。 いつも一緒に居てくれる。 そんな様子が想像出来た。 うん。 そうだね。 「それ。。。俺の夢にもなったよ。 CEO。。ありがとうございます。」 ぺこりと頭を下げると 涼はうんうん。と頷き 「苦しゅうない。」 何故か 胡散臭い殿様のようにそう言って ニカっと笑うと ぎゅっと俺を抱きしめた。

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