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もう。無理。
こんなに俺の事考えてくれるなんて
愛おしくて 会議どころじゃない。
手早く洗い物を片付け カウンターを出て
ひょいっと涼を抱き抱え 階段を上がる。
「あのー。新さん。まだ会議中。。」
「もう終わり。ビーフストロガノフ。
採用決まったでしょ。CEOがそう言ったんだから。
これからはプライベート。」
「いやいや。会議終了宣言してませんから。
待ってって。。俺。もう一つ話があるんだよ。」
ん。
何だろ。
ベッドルーム直行を止め 抱えたままソファーに
座ると 涼はまた あのー。と俺を伺い
顔色を見て諦めたのか ため息をつきながら
渋々そのまま話し始めた。
「あの貯金箱さ。俺に使い道考えろって
言ってくれたから考えて。
旅行とかは 別に普通に出せるじゃん。
わざわざアレ使わなくてもさ。ボーナスもあるし。
で。この対価は店の為に使いたいなって思って。
だけど 新。そう言うとダメって言うだろ。
俺の稼いだ金なんだから自分の為にって。」
当たり前。
その為にああして説得して。
・・ああ。だけど。
もしかして。
「店を大きくする時に使いたいって言うの?」
話の流れを見て そう聞くと 涼はニカっと笑い
コクコク頷いた。
「お前が言ったんだからな。仕事辞めたら
俺には新とやる店があるって。
辞める辞めないはともかくとして
この金は【俺の】店の為に使います。
毎日働けなくても俺にはCEOの地位があるしな。
という事で。CEOがそう決定致しました!
はい。拍手!」
涼は一人 パチパチと手を叩く。
もう。。
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