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「ありがとうございました。」
新は客を送り出し カウンターの上の皿やコップを
片付けると 丁寧に洗い始めた。
今日はこれで終わりかな。
時計を見ると 閉店時間15分前。
涼はまだ帰っていない。
取引先の何周年かのパーティーで手伝いに借り出され
帰りは遅くなると聞いている。
まあ。明日は土曜。
休日出勤は無いみたいだから ゆっくり
寝かせておこう。今週は忙しかったようだし。
休日出勤の無い土曜は 朝から開店準備に
ランチも手伝ってくれているけど
今から全部準備してしまえば ランチ営業までは
寝かせてあげられる。
先に寝るという選択肢はハナから無い。
どうせ待っているんだから じゃあやっちゃおう。
ただそれだけ。
涼は真面目だから いいって言っても 頑として
聞かないし。 とはいえ無理もして欲しくないよね。
お互い無理はしない。
それが一番大事なのは 一緒に生活していくうちに
よくわかった。
まずは毎週金曜 店を閉めた後
これだけは必ずやっておくカレーの仕込み。
涼のおかげで千葉さんの肉を使える事になり
ビーフストロガノフは平日に。
そして せっかくブロックで卸して貰えるからと
週末のランチは価格を少し上げ
ビーフカレーを出している。
CEOも納得してくれたしね。
「やっべえな。これ! マジでヤバイ。
あー。ヤバイ。俺なら5000円。。って
価格は無理だけど。払ってもいいって思うくらい!
ホロホロ 口の中で溶けちゃうんですよ。
この牛肉。あー。すげえ。マジで。」
MAX旨い時 語彙力ゼロの涼はそう言って。
平日の客層と週末の客層に変化が出始め
わざわざ遠くからも食べに来てくれるメニューになり
来月からは千葉さんに卸値を元に戻して
貰う事にした。
それと普段の千円ランチも週末は継続。
選択肢がある方が客足は伸びる。
数品のランチが提供出来るのは
涼が手伝ってくれるおかげで
回転率も上がるし 何より楽しいしね。。
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