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4.天使についての極秘情報
前言
これは天使研究においてとても大事な情報である。
だがこれを公開してしまうと天使が迫害される恐れもある為、公開はせず極秘文書として王城の書庫にて保管されることが決まっている。
天使研究者としては忸怩たる思いではあるが、世界に希少と言われる天使の為、私は涙を飲むことにしたい。
天使研究家 イータキダ・シンテ
* *
天使の存在は最近まで謎に包まれていた。
何故この世界の者たちは30歳まで童貞でいると天使になってしまうのか、そして天使になると、精を身体の奥に受け止め、庇護されないと死んでしまうような虚弱な存在となってしまうのか。
表向きは、現在でもこれについては謎のままである。
さて、みなが知っている通りこの世界には「鬼」という人間の敵が存在している。
「鬼」は人族の亜種である蛇族や竜族、鳳凰族、触手族、巨人族とは違い、明確に人間を襲い、殺し、奪い、時には犯して「鬼」を産ませる恐ろしい存在だ。
「鬼」は魔法こそ使えないが強靭な体躯を持ち、魔法以外では太刀打ちができない。
今でこそ魔法能力の高い者が森に結界を施し「鬼」が出てこないよう監視している地域もあるが、世界全体を考えると微々たるものだ。昔は人族と亜種は交流がなかったというから、人族の「鬼」への対抗手段はなかっただろうことが考えられる。
そこで人族は己の身体を進化させた。
かつて人族は弱く、30歳を過ぎたらいつ死んでもおかしくなかった。15歳で成人し、結婚して子を成す。30歳までそれができないとしたら、生殖においては役立たずと言われたという。
それ故か、30歳になっても童貞の者は己の身体を「鬼」が好むように進化させたのではないかということが、最近の研究でわかってきた。
「鬼」は懐に入れたものに対して情が深いと言われている。
子は成せないが、己の庇護がなければ生きられないという存在は「鬼」を骨抜きにしてしまうようだ。
これは鬼が済む広大な森の中に住んでいる、人族の一員から教わったことである。その森に住む一族は一部の者を天使に育て、「鬼」に献上するらしい。
この世界に「王」が現れなければ30歳になる前に童貞を捨てさせて普通の人として生きさせるそうだが、「王」が現れてしまった。
故に、もう何人かは「鬼」に献上してしまったと聞く。
どうして世界の「王」が現れたことで誰かが天使にされ「鬼」に献上されてしまうのか。
それは「王」がこの世界に存在することで受けられる恩恵が関係しているらしい。「王」が現れれば、それまで起きていた災害がパタリと止み、作物は実り、みながそれほど苦労しないで生きていけるようになる。それは「鬼」も同様で、災害などが減ることで森の実りが増え、「鬼」自体も増えてしまうというのだ。
その「鬼」たちが必要以上に増えないようにと、子を成すことができない天使が「鬼」の里へ送られるのだという。
その他に、30歳を目前として犯罪を犯した者は童貞の有無を確かめられ、童貞であれば天使にされて「鬼」の元へ送られたりもするそうだ。
犯罪を犯した者が天使にされるのはかまわないが、わざわざ村ぐるみで天使を作り、それを「鬼」に献上するというのは由々しき問題ではないだろうか。
ただもちろん天使は一人で行くわけではなく、聖職者という、この世界で唯一鬼を殺す能力を持つ者が同行するという。その聖職者からの報告によると、「王」が現れてから「鬼」の里へ送られた天使たちは、毎日鬼たちにたっぷり愛されてすでに乳が出るようになっているらしい。
乳が出るということは大切にされている証拠だろう。
かくいう私は王城に来て童貞たちの相手をここ二か月程行っているが、まだ乳が出る気配がない。乳が出る程愛されるというのはどういう状況なのか……
(ここでシンテの手記は途絶えている)
…………。
乳が出る程私共でたっぷり愛しますのでご心配なく。
シンテの召使い エバヤ・ブラジンシュ
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鬼に献上された天使さまのお話は、
「化物の生贄花嫁~童貞処女だったのに旦那様たちに毎日甘く抱かれています」
https://fujossy.jp/books/22555
及び、
「化物の里に嫁ぎます~意地っ張りな童貞処女は毎日化物たちに愛でられる」(こちらはアルファポリスに載せています)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/977111291/362533694
を参考にしてください。
シンテはこの後召使いや兵士たちに更に愛されてしまうに違いありません(笑)
やったね(笑)
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