15 / 25

第4話-2

 御稲荷さまから白耀を頼むと言われてから、桔梗は白耀に望まれればそれを受けるつもりでずっと待っていた。  大人になってもなお結婚の申し出を断る桔梗に呆れたのか、あの春の日から三月が過ぎた夏の宵。ようやく求婚され、桔梗は思いの丈を込めて「はい」と答えた。 「本当か!」  次の年を迎えれば十六になる白耀は、すでに桔梗よりも一回り大きく美しい青年へと成長していた。  穢れを知らぬ真っすぐな瞳に射貫かれ、桔梗は息を飲んだ。 「ようやく……ようやく桔梗が嫁さまになるのだな?」  大きくなった手のひらが桔梗の頬を包み、熟れた頬を優しく撫でる。照れくさいのに顔を背けることも許されず、桔梗の頬は増々熱を上げた。

ともだちにシェアしよう!