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第1話
「ほらそこの処女くん、薪を早く集めてきなさい」
「……はい……」
「処女くん、それが終わったら水を汲んできておくれ」
「はい…あの……」
「水を汲んだら、次は木の実を摘んでおいで処女くん」
「あ、あの!!!!」
もう限界だ!!何を考えてるんだこのエルフ様は!!
「なんだい?処女くん。人間には少しキツかったかな。
久しぶりに人間と会うもので、加減が分からなくてすまなかったね」
「違います!!そんな事どうでもいいんですよ!!
いい加減処女って呼ぶのやめてもえますか!?
僕は男だし、逆に女ならあんたの事訴えてますよ!?なんなんですか、その『処女くん』って呼び方は!?」
「なんと…」
心底びっくりしたように、齢120歳のエルフ様はこちらを振り返った。
銀髪のおさげを大袈裟に揺らして、長い睫毛をゆっくりと瞬 かせる。
何をしても絵になるのを自分で自覚してる仕草だ。
「それは、申し訳ない。呼び方が気に入らないなど夢にも思わなかった。
だが、君のような可愛い青年が男女ともに性的接触を行わず、前の花も後ろの園も誰も散らした事が無いなど、私としては最高の褒め言葉だったのだかね」
思わず持っていた薪をバキッと折ってしまった。
そのまま叩き投げなかったのだけ、自分を褒めたい。
こんのクソエルフ〜〜!!
――――――――――――
僕はラルフ。
しがないパン屋の息子だ。
そんな僕が噂でしか聞いた事が無かった、エルフにセクハラされる日が来るとは思いもしなかった。
なんでこんな事になったかというと、
話は三日前に遡る。
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