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第4話

 それからの悠真には、特訓が待っていた。  時には部活が終了してからも、居残りで先輩の指導を受けねばならなかった。 『夕鶴異聞』は、ラストに鶴の化身であるつうが、死んでしまうという悲しいストーリーだ。  冷たくなったつうの亡骸を抱き、与ひょうが涙を流し慟哭するシーンで幕が下りる。 「つう……、つうッ!」 「いや、違う。そうじゃない、吉行くん」  横たわった未緒にすがって呻く悠真に、演出担当の先輩がやけに冷静にストップをかける。 「ただ大声を出せばいい、ってもんじゃないんだ。もっと、情感を込めて」 「はい……」  もう何度、同じことを繰り返しただろう。  疲れ果てた悠真に、未緒が助け舟を出してきた。 「今日はもう、遅いから。続きはまた明日にしよう」 「すみません……」  せっかくの華やかな主役が、悠真には重荷になって来ていた。

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