「なぁ、話くらい聞いてくれよ。未緒」 「……」 　未緒は黙って、写真週刊誌を悠真に投げつけた。 　キャッチはせずにそれをよけ、悠真は真っ直ぐに未緒に向かって大股で歩いた。 「未緒、ったら！」 「放してよ！」 　あれから10年の月日が流れていた。 　未緒は声優として成功し、悠真は人気俳優として活躍していた。 　そんなところに降って湧いた、事件。 　悠真が今収録中のドラマで共演している、若手俳優。 　彼女との熱愛報道が、世間を騒がせたのだ。 　未緒の投げた週刊誌には、タクシーに乗り込む二人の姿が掲載されていた。 「こんなでっち上げ、マジで信じてんの？　嘘だろ？」 「だったら、説明してよ」 「だからさっきから、話を聞いてって言ってるのに……」 　未緒を腕の中に捕まえたまま、悠真は話した。