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第22話
「少し前に、俳優仲間たちと一緒に食事したって言ったろ?」
「うん」
「これは、あの時の写真。夜の11時だったから、女の子は危ないって理由からタクシーでマンションまで送りました」
「うん」
「その日、俺は何時に帰って来たか覚えてる?」
「11時半ぐらい」
彼女をマンションまで送って、そのままタクシーで二人の住む家へ帰って来るまでが、約30分だ。
「時間も無いのに、俺と彼女の間に何かあるわけないだろ?」
「でも……、キスくらいしたかも?」
「俺がそんな男だと思う? ん?」
「……」
思わない。
悠真の浮気なんて、信じてはいない未緒だ。
それでも、時々こうやって意地を張りたい時がある。
わがままを振舞いたいことがある。
そしてそんな時は、時間を巻き戻して使う言葉があった。
「愛してるよ、つう」
「信じてるよ、与ひょう」
そっと、二人で唇を合わせた。
鶴の羽根のように、静かで柔らかなキスをした。
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