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ActⅠ Scene 1 : 探偵カルヴィン・ゲリー。③
残された姉のシャーリーンとカルヴィンは、子爵である父方の妹デイル夫妻に引き取られた。
彼らには子供はおらず、それも相俟ってか血の繋がりのないゲリー姉弟を我が子のように可愛がってくれた。それは姉が十六歳になった誕生日にも社交界デビューをさせてくれたほどに――。
けれども彼らデイル夫妻の優しさが仇になったとわかったのは、シャーリーンが社交界デビューを果たして二度目になる満月の夜のことだった。
その日はフレズリー・グルモン侯爵の愛娘が十六の誕生日を迎え、姉のシャーリーンがパーティーに招待された。
当時十五歳だったカルヴィンはまだ社交界に行けず、屋敷でひとり留主を守っていた。
シャーリーンにとって二度目の楽しいパーティーが悲劇に変わるとも知らずに――。
彼女にとって楽しいはずのパーティーは、けれども恐ろしい出来事に変わった。
シャーリーンが何の前触れもなく、忽然と姿を消したのだ。しかも誰も彼女を見た者がいないという。
国に捜索を要請しても見つからず、シャーリーンがふたたびカルヴィンたちの前に姿を見せたのは行方知れずとなってから一週間が過ぎた後のことだった。
街外れの樹海の中で、白骨化した彼女の遺体を発見したのは……。
真新しい薄桃色のドレスは社交パーティーで着ていたものだし、背丈も似ていて間違いようがない。
シャーリーンは母親に似て心優しい。彼女は誰からも愛されていたから恨みをもつ者はおらず、無差別による殺人だと政府は判断した。
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