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epilog⑤

「何か楽しいことでもあったかな?」  そっと覗き込まれ、カルヴィンはにっこりと笑った。それからふたたびティムの方を見る。年齢は十七ほどだろうか、少年から青年へと変わろうとしている彼はまだあどけない雰囲気を残している。印象的な緑色の大きな目と真ん中に乗っている小さな鼻。赤い唇。そして細身の躰は過去の自分の姿と重なった。彼がティムに寄越す眼差しは羨望だ。頬を赤らめ、目が合えば逸らしている。ティムもまた彼の気持ちを察しているようで、にっこり微笑んでいる。その笑みはとろけるように甘い。ティムはどうやら彼の騎士になるつもりだ。  あの二人も時期に結ばれる。クリフォードの問いにカルヴィンは、「秘密」と笑って薄い唇にキスをした。クリフォードはカルヴィンの頬に手を添えると与えられた口づけを自分のものにした。  どうやら今夜もまたゆっくり眠れなさそうだ。カルヴィンは笑みを浮かべ、情熱的な口づけで応えた。 《完》

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