6 / 31
第6話
「実にすばらしい闘志でしたよ、アルトニー。私の奴隷になる事を、あそこまで拒絶した者は初めてです。だからこそ」
ウァラウムはそこで言葉を区切り、勿体ぶってアルトニーの座るベッドへとゆっくり近づいた。
敵意に満ちたまなざしを軽く受け流し、ぎしりと静かな音を立てて寝台へ上がった。
半身を起こしたアルトニーの肩に両腕を伸ばし、そっと横たえながら囁いた。
「だからこそ、死者の国へ行く前に、二人してアストラル・ボディの状態にしていただいたのです。リクィス様にお願いして」
「……ッ!?」
リクィス、の名を聞いて、アルトニーはぐいと身を起こそうとした。
しかし、自分を抑え込んだウァラウムの腕はびくともしない。
気色ばんだアルトニーとは対照的に、ウァラウムは淡々と喋りつづけた。
まるでもう、自分は関係ありませんよ、とでも言うように。
ともだちにシェアしよう!