30 / 31
第30話
何と。
アルトニー同様、薄れゆく意識の中でウァラウムは笑った。
いや、笑ったと思っただけなのかもしれない。
それほど、身を、心を侵食してゆく脱力感は大きかった。
「くッ、くく。さすが、ファタルの大魔闘士・アルトニー。その、人に操られず我を通す力、己を誇示する力は大したものだ……」
この私が、リクィスの大魔闘士・ウァラウムが倒されたほどなのだ。
そうだ。そうこなくては。
やはり寸断される意識の中、ウァラウムは切れ切れに最後の言葉をアルトニーに伝えた。
「また、逢いましょう、アルトニー。いずれ……、輪廻の果てに……」
ともだちにシェアしよう!