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第四章・11
「あまり関心できない人たちだなぁ」
「東郷さん、それは軽過ぎますよ!」
人々に小突かれ、東郷は頭をかいたが、入江の心は暗かった。
「一体どうして、そんな真似を。彼らをそこまで荒んだ心の持ち主にした家庭環境は?」
「入江さん、気が長すぎますよ!」
人々に小突かれたが、入江にはなぜ小突かれたのかが解からなかった。
悪の心を正すには、奥底に秘められた悲しさを、まず癒すべきだと信じていたから。
自分らの住む町で散々悪さをした挙句、町の人間、特に被害をこうむっている者たちは、彼らが現れればすぐに電話を取り、警察官を呼ぶ準備をするようになった。
警官が来る前に、慌ててその場からドロンと消えてしまうことが多かったが、それでも時には間に合わず、説教を喰らうこともしばしばだ。
さすがに我が物顔で振舞えなくなってしまった若者たちは、次第に近隣の町でふざけるようになった。
そしてこの三丁目も、標的にされたのだ。
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