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第五章・2
ベランダへ続く広いガラス戸の向こうは、青くきらめく海。
カーテンはアイボリーホワイト。
室内全体をウッド調で統一してあるので、植物の温もりが感じられる。
ガラス戸のおかげで採光がよく、清潔なリネンの白が眼に清々しい。
無粋なテレビが置かれていない点も、愛の気に入った。
あれはいけない。何もかもぶち壊しにしてしまうから。
「ふぅん。いい部屋だね」
「だから、要予約だったわけ」
でもどうして、と愛は素朴な疑問を明に投げかけた。
「でもどうして、突然ホテルで?」
「たまには、こういうシチュもいいかと思って」
倦怠期、という訳でもないのにな、と愛は我知らず首をかしげた。
それとも明は、そう感じているのかな。
友達だった少年時代から数えると、まもなく十年になる付き合いだ。
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