243 / 259
第五章・4
(飽きられてるのかな、僕)
そう思うと、怒りよりも切なさが勝る愛だった。
明には、他にガールフレンドが何人もいる。
私の代わりは、いくらでもあるのだ。
「お風呂、使いたいな。一緒に入る?」
「え? お、おぅ♪」
突然積極的になった愛の胸の内も知らず、明はただ単純に喜んだ。
バスタブはキングサイズのベッド並みに広く、男二人が入っても楽々身動きが取れる作りになっていた。
橙色の灯りの下、バスにバラの花びらをたっぷり浮かべて二人は楽しんだ。
「温まったな~。どれ、食べごろになったかどうか、見てやる!」
「ひゃあ、やめて! 歯型つけないで!」
愛の首筋や肩先は、素肌がむき出しになっている。
桜色に上気したそこは、美味しそうなことこの上ないのだ。
きゃっきゃとはしゃぐ愛を背後から抱きすくめ、明はさっそく前戯に移っていた。
ともだちにシェアしよう!