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第五章・4

(飽きられてるのかな、僕)  そう思うと、怒りよりも切なさが勝る愛だった。  明には、他にガールフレンドが何人もいる。  私の代わりは、いくらでもあるのだ。 「お風呂、使いたいな。一緒に入る?」 「え? お、おぅ♪」  突然積極的になった愛の胸の内も知らず、明はただ単純に喜んだ。  バスタブはキングサイズのベッド並みに広く、男二人が入っても楽々身動きが取れる作りになっていた。  橙色の灯りの下、バスにバラの花びらをたっぷり浮かべて二人は楽しんだ。 「温まったな~。どれ、食べごろになったかどうか、見てやる!」 「ひゃあ、やめて! 歯型つけないで!」  愛の首筋や肩先は、素肌がむき出しになっている。  桜色に上気したそこは、美味しそうなことこの上ないのだ。  きゃっきゃとはしゃぐ愛を背後から抱きすくめ、明はさっそく前戯に移っていた。

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