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15可愛いは正義である

 実はワイルドヤンキーだったロビの菜園に着いたセナは、たくさんの野菜(らしき物)が育っているのを目にして感動した。  ちなみに植えられている野菜は、地球と違って変な形はしている。 「おお、これがロビの菜園!綺麗だな」 「まぁな。僕が丹精込めたラビト特製の野菜だし。食べるか?コレなら洗わなくても食べられるぜ」 「ありがとう」  ロビは近くの紫色のソラ豆のような野菜を1つ掴むと、皮を剥いてセナに手渡す。大きさはミカンくらい、手触りはツルツルしている。ナスのように紫色の野菜もあるので、セナは意を決して齧る。 「ウマッ!!!」  ツルツルした豆のような紫色の野菜は、桃のようにとても甘かった。野菜というか果物に近い品種かもしれない。 「それは、モナッツ。他の苦い野菜と混ぜて食べるとさらに美味いんだ」 「へぇ」 「ちょっと他の野菜採取してくるから、セナさまはここで待ってろよ」 「口調変わっても、やっぱり《さま》は付けるんだな」 「一応、セナさまは魔王の所有物だし」 「所有物・・・」  まだセナは誰のものにもなってはいない。魔王の元にいる事で、本来受けるべき危険から遠ざけてもらっている状態だ。 「俺も手伝う」 「あぁ、ありがとうな」  2人は必要な分だけの野菜を取り、簡易的な切り株の椅子で休憩していた。  のどかな雰囲気に地球に残して来た両親を思い出す。セナはまだこれが夢だと思っているが、やはり外国と日本の距離は遠い。 「おやじとおふくろ、元気かな」 「セナさまの両親はどこに居るんだ?」 「日本の片田舎」 「に・・・ほん?」 「これ俺の夢の話なんだけどさ。この世界に空から降って来たんだよね。それで俺を姫抱きキャッチしたのが魔王で、勝手に勇者にしたのも魔王」 「そうなんだ」 「でも魔王ってさ、星空の下で口説くような意外とロマンチストでさ・・・」  ドサッと音がして視界が空に変わったと思うと、ロビが見下ろしていた。  セナは地面に転がっていた。 「あれ?」 「セナさま、男の前で他の男の話しないでほしいんだけど」 「え、な、なんで・・・」 「嫉妬しちゃうからですぅ」  ロビはいつもの可愛い笑顔と伸びた語尾で、セナの頬を撫でた。 「ろ、ロビはあんまり俺と接触なかったけど、どこら辺が気になったのかなぁ・・あはは」 「初めて会った時、僕に挨拶しただろ?普通、魔族の下男に挨拶は返さない。それに魔王様とかリドレイの受け入れてるセナさまが可愛かったし」 「見てたのか!!!」  セナは身をよじりうつ伏せになるが、逆効果だった。尻の間に硬いものが当たる。 ━━━━━ロビ、勃ってるーーー!!!  心なしかサイズも大きい気がする。セナはショタは全力回避しなければと、脳をフル稼働した。そもそもどっちが入れて、入れられるのか・・・。 「セナさま、僕の大っきいの欲しい?」 ━━━━━俺が突っ込まれる方!!!  ロビだって男である。好きな相手には男として突っ込みたい気はわからなくもないが、とにかくこんなのどかな場所で青姦は嫌だった。  リドレイといい、獣系統は青姦したがる傾向なのだろうか。 「ま、待て!ロビ、・・・こんな外で身体も洗ってないのに・・」 「あ、大丈夫。獣人は青姦なんて普通だし」 「獣人のモラル見直そうよ!」 「いっぱい舌で舐めるし、な?」 「な?じゃない!ショタ系の可愛い顔でエロいことされるのは、なんか・・・心苦しい」 「・・・・ふぅ」 「・・・?」  ロビはあっさりとセナから退いた。そして仰向けにひっくり返して、手を取り起こしてくれる。 「しないのか?」 「して欲しかった?」 「い、いや・・・うーん」 「掟で決めたろ?セナさまが嫌がる時はダメだって」 「確かに。ロビ、意外と潔いいな」 「僕はこれでも一途なんだよ。さてと、野菜も取ったし城に戻るか」 「う、うん・・・なんかゴメンな」 「いいよ。ゆっくり口説いてくから」  セナはロビって自分を狙う者達の中で、1番まともで紳士じゃないかと思った。友達になれたらきっといい関係を築けそうだ。  城に戻ると、持って来た野菜はその日の夕食に出されセナは美味しく頂いた。  ロビは、またですぅ口調に戻り「またデートしましょうねぇ」と可愛いく微笑むのだった。その隣では、アディが不機嫌な顔をして珍しく皿の音を立てて食事を黙々としているのであった。

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