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「ハア、ソレで逃げられたと?」 呆れて言葉が出ないとオレの顔を見てそう言うのは神嵜だ。サクラの逃げ込んでそうな場所に手当たり次第、押しかていたオレは最後の砦だと思っていた彼にまで見放された。 「ま、ソレは捨てられて当然だ」 そう言う彼の言葉は身も蓋もない。馬鹿な嫉妬したとは思っている。だけど、オレだって必死だったんだ。サクラに捨てられると思って。 彼はオレと違って、コレからがスタート地点になる。頭がよくって、何でも卒にこなす。オレとは大違いだ。そんな彼にオレが釣り合うハズがなかった。 「ハイハイ、落ち込むなら自分っ家で落ち込んでくれ」 そう言って、神嵜は部屋の扉を開けたら、 「誰が落ち込んでるって?自己中が反省なんかするハズないだろう?」 そんな声が聞こえて来て、オレも等々幻聴まで聞こえるようになったかと嘆息する。 「ありゃ、本当だ」 そう言って、サクラの幻までを作り出してしまう。コレはもう重症だと立ち上がれば、「ほらよ」と手渡される一枚の紙に目を疑う。 「マジで、巴の両親に承諾して貰うのに骨が折れた。流石に、僕の養子には出来なかっただったけど、義兄弟にはなれたよ」 そう言うサクラは宜しく「義兄さん」とオレの頬に口付けをした。 ───── ── ─ ─ガ─ガガ─ガ─ 『……サクラ、……このISUグランプリファイナルが終わったら結婚しようか?………』 そう、古い蓄音機から聞こえて来るのは七瀬巴の声だった。 神嵜類は眉を潜める。 「貴方も相当しつこい人ですね。サクラは此方の世界で貴方の幻と仲良くしてますよ」 貴方が死んだなんて私は口が裂けても言えませんが──、 と。 END

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