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008.君とならいつでも本意です
食事当番、今日は君の番。
のそのそと僕の腕とベッドの温度から這い出して、冷たい床をぱたぱた、君が行く。
美味しそうな匂いがしてきたら、僕もそろそろ起きなくちゃ。
着替えのシャツに腕を通してダイニングへ。テーブルにはベーコンエッグとトースト、ジャムとバター、それにお揃いのコップが並んでて。
「おはよう。」
「おはよ、あッ!? おま、それ俺のっ!!」
無造作に手に取ったコップのオレンジジュースは、どうやら君の飲みかけだったらしい。どっちがどっちのコップなんて気にしたこともないからよくあること。
「最後のだったのに、む、ぐッ!?」
とはいえあんまりショックだったみたいだし、幸い口の中に残ったままだったから、そのままお返ししておいた。
「悪気はなかったんだよ。」
しっかりジュースを飲み干した君が、「……他意はあったよな?」と訊いてくるから、どう答えたものか。
「……他意なんてそんな。本意なんだけどな。」
「あ、あっそ!!」
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