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番外編3・繋いで繋がれて恋模様。(2)
少し前まで先輩のストーカーをしていたくらい根暗だ。
実の父親にも捨てられてしまうくらい、煩わしい子供なんだから……。
「うう……」
先輩に捨てられる。
そう思うと胸が苦しい。
……じんわり。
涙が溢れてくる。
先輩の姿どころか、行き交う人の姿も見られなくなってしまった……。
ドンッ!
「っつ!!」
立ち往生してしまったから、通り過ぎる人と肩がぶつかって、固い地面に倒れてしまう。
「っひ、っふぇ……」
先輩は……もうぼくを探しにきてもくれない。
このまま捨てられちゃうのかな。
「せんぱっ、せんぱ……」
通り過ぎる人の影に蹲って、ひとり、泣いていると……。
「翔夢 くん見つけた! 離れてしまってごめんね」
とっても好きな人の声が頭上から聞こえたかと思ったら、グイッって、ぼくの腕が掴まれた。
「せんぱ……」
もう、捨てられたのかと思った。
もう、嫌われたのかと思った。
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