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監禁生活 

 高層マンションの最上階にある一室で、大きく縁取られた窓ガラスから外を眺める。2月の空は快晴で、遠くに見える山々の上にはまだら雲が広がっていた。  飽きるほど眺めてきた同じ風景に、煌生はチッと舌打ちして窓から離れた。どさっとわざと音を立てて、1人で使うには大きすぎるソファへと身を沈めた。  今日も何もやることがない。朝起きて、シャワーを浴び、朝食を食べ、趣味の筋トレを済ませたところで時計を見たが、まだ朝の10時過ぎだった。テレビも平日の昼間はくだらない情報番組かドラマの再放送しかやっていないし、読書をしようにも、ここに入れられてから何十冊と読破したので、もう読む気にもならなかった。 「いつまでここにおらなあかんねん」  誰に言うでもなく呟いた。  煌生が拉致同然にここに連れてこられたのは、3ヶ月ほど前だった。高校を卒業後、実家を飛び出して好き勝手に暮らしてきた。まあ、少し好き勝手にし過ぎたのかもしれない。ある日、居候していた女のマンションに、実家から向けられた舎弟どもが押しかけてきて捕獲された。  行く先々で派手にトラブルを起こし、色んな意味で名を上げてしまっていたのだが、とうとう父親の堪忍袋の緒が切れたようだった。  道楽息子の根性をたたき直そうとしたのかは不明だが、煌生が反省するまでは一歩も外に出してはならないと組全体に通達があったらしく、この、ドアの外側から鍵をかけられた組所有の洒脱なマンションで、四六時中見張られながら半監禁状態が続いている。

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