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ヘルパー

 煌生と外界を繋ぐものは、週に一度来る『ヘルパー』だけだった。1週間分の食材と、煌生がリクエストした物、補充用の日用品などを持って現われる。部屋の掃除をし、洗濯をし、夕食の支度をして、煌生に抱かれて帰っていく。  結局のところ『ヘルパー』とは、煌生の性欲処理の手伝いまでを含んだ『奉仕係』というわけだ。  まだ20代半ばの煌生にとっては、この配慮は有り難かった。1人でやるのとではやはり満足度が違うからだ。  しかし、なぜか『ヘルパー』は頻繁に変わった。大抵1、2度来たら別の『ヘルパー』が現われた。若い男の時もあった。煌生は男でも構わず抱いた。組側も煌生の性癖についてよく把握していた。煌生はどちらもいけるバイセクシャルだったのだ。  前回『ヘルパー』が来てから1週間が経とうとしていた。今日辺り来るのではないかと思っていたが、夕方近くになっても誰も現われない。  今日は来おへんのか、と映画でも見ようとテレビを点けた時。玄関の鍵が開けられる音がした。  玄関の扉が勢いよく開いて、勢いよく閉まる。がさがさと買い物袋が擦れる音が段々と近付いてきて、リビングと廊下を隔てるドアの向こうに人影が映った。かちゃっ、とそのドアが開かれる。  煌生はなんとなくドアが開くのを見ていたが、入ってきた人物を認めた途端、どくり、と心臓が鳴るのをはっきりと感じた。目を見開いたまま、その人物を見つめ続ける。 「なんで……」  お前が来んねん、と続けようとしたが、喉がからからに渇いたようになり何の音も出てこなかった。

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