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再会
入ってきた人物は、不機嫌そうに煌生を睨み付けていた。煌生からぶつけられた疑問に荒々しく答える。
「お前のせいやろが」
「……は?」
「来る奴、来る奴、派手に犯しよって。もう誰もお前んとこに来たがらへんねや」
「犯す?」
「せやろが。いくら『奉仕係』言うても限度があるやろ? 相手が気絶するぐらいヤったり、痣付けるまで首絞めたり、お前が無理やり色々やり過ぎたせいでなぁ、俺んとこにお鉢が回ってきてんで!」
「カズに?」
「……馴れ馴れしく呼ばんといてくれ。中村でええ」
そう言って、中村和馬は視線を煌生から外して、苛立たし気にキッチンへと歩いていった。
「お前との再会がこんなんやとは思わへんかったわ」
そう呟いて。
それはこっちのセリフじゃ。
煌生はキッチンへと消えていった、数年振りに再会した男へと心の中で呟いた。
噂には聞いていた。あれから。煌生が家出してから、和馬が組のためにどれだけ尽力をつくしてきたか。お節介にも常に組の様子を報告してくれる奴が何人かいて、話を聞く度に和馬が段々と腕を上げていく様子が分かった。今では組の中でも一目置かれる存在になったということも。
一方で、噂は良いものばかりでもなかった。ある時、煌生の身分を知らないどっかの組のチンピラが、下世話な話でもするように、汚い顔をいやらしく歪めてご丁寧に教えてくれたことがあった。
『五十嵐組には誰にでも尻尾振って鳴く犬がおる』
『組の幹部の上で鳴きまくって、今の地位に上り詰めたらしいで』
『女みたいな顔しとるらしいわ』
『組長にも可愛がられとるみたいやしなぁ』
それが噂の範疇を越えないことは分かっていた。しかし、和馬の名前さえ知らないような奴らにそんな噂を立てられて和馬の耳に入らないわけがなかった。
その時は、そのくだらない話に長々と付き合わされたことに苛ついて、なおも話を続けようとするそのチンピラを無理やり黙らせた。どうやったのかはもう覚えていなかったが。
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