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告白 ①
「もし、帰って欲しいんやったら、帰るけど」
そう声をかけられて顔を向けると、和馬がキッチンから戻ってきていた。じっと探るように煌生を見つめている。
「……好きにしたらええよ」
「……俺が決めることちゃうやろ」
「……カズ」
「……なん」
「おってくれ」
「…………」
もう一度はっきりと伝える。
「俺の傍におってくれ」
和馬は無言でその場に立っていたが、やがてスタスタと歩き出し、どさっと煌生の隣へ腰かけた。相変わらず不機嫌いっぱいの顔のまま。その和馬らしい態度に思わず笑みを浮かべる。
「……なんで会いたくなかったん?」
前を向いたまま、ぽつりと和馬が呟くように尋ねてきた。
「……時間が欲しかってん」
「……なんの?」
「自分の気持ちを整理する時間」
「…………」
「……俺が家を飛び出したんは、一応理由があんねん」
「それは……家が嫌やったんやろ?」
「まあ……そうなんやけど。その根本にあったんは、なんでわざわざ殺し合いの中に入っていかなあかんねん、って疑問やった」
「…………」
「多くの人、傷つけて。仲間の内でドンパチやっとったらええけど、いつか、関係ない人まで傷つけるかもしれへん。いくら対立する組やからってその相手にも家族はおるし」
和馬がこちらを向いて煌生の横顔をじっと見つめている。その視線を感じながら、煌生は話を続けた。
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