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プロローグ
「いつか、必ずお前を迎えに行く。何年、何百年かかろうとも。それまで待ってくれるか、|真白 」
「……朱華 様……いつまでもお待ちしております。もう一度、貴方の腕に抱かれる日を……」
ずっと夢に見る。
遠い、遠い昔の話。
誰かが呼んでる。
ずっと、俺じゃない誰かのことを。
それなのに、なんでこんなに胸が締め付けられるんだろうか。
目が覚めるたびに涙が零れるのは何故なんだ。
呼んでるのは俺の名前じゃないのに。
お前は、誰なんだ。
こんなに悲しくなるのは、どうして。
教えてくれ。
ーーー
ーー
「……はぁ」
俺は小さい頃からずっと同じ夢を見続けてる。物心着いた時にはその夢ばかり見てたから、多分その前からそうだったんだと思う。
とは言っても夢だし、覚えてる時と覚えてないときがあるけど、ここ数年はやけに鮮明に覚えてる。
まるで映画のDVDを繰り返し、繰り返し再生してるみたいに。
小さい頃はあやふやだったけど、大きくなるにつれてボヤけていた映像も段々と分かるようになっていった。俺が色んなことを知っていくから、それに合わせて夢の中でも見えるようになっているのだろうか。
例えば赤色を覚えたから、夢の中でも赤い色だけ分かるようになった、みたいな。
でも、今日の夢はいつもと違うような気がした。
どうして。今日がいつもと違う日だからなのか。
今日は俺、廣瀬至 の15歳の誕生日。
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