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あとがき

「ヒュアキントス。本当は僕がアポロンになって、君を愛したかったよ・・・・・」  はじめまして。崎みさきと申します。  わたくしの書いた小説『光と花のミューズ』をご愛読くださり、ありがとうございました。  初投稿作品なので、読みにくい部分もあったと思います。視点はバラバラだし、段落もころころ変わるし、急に回想シーンに入るし・・・・・本当に皆さんを振り回しました。  最後までついて来ていただけて、心から感謝しております。  マイケルくんも、ナレーションお疲れさま。  本当のギリシャ神話をご存じの方は、疑問点もあったと思います。  例えば、“ヴィーナス”と“キューピッド”。これらはローマ神話の呼び方であって、ギリシャ神話ではそれぞれ、“アフロディーナ”と“エロース”に変わるんですよね。  なぜここではローマ神話の呼び方にしたのかと言うと、この作品はキャラクターが多く、カタカナ表記で長い名前や似たような名前もあるので、少しでも読みやすくするために、知名度の高いローマ神話のほうを使いました。  それに・・・・・「エロース」なんて言うの、恥ずかしいじゃないですか!  バシッ(マイケルくんに背中叩かれた笑)  まあ、あくまでギリシャ神話を題材にしているので、主役の相方であるアポロンは、さすがに“アポロ”ではなく“アポロン”にしておきましたが。そんなに変わらないけど、それはそれで助かる。  ヘルメスのことも、“マーキュリー”と記して別のマーキュリーを連想されては困るので、  バシッ(ヘルメスに杖でどつかれた気がする・・・・・)  ヘルメスも“ヘルメス”のままです。  主役にしているヒュアキントスがギリシャ神話独自のキャラクターである以上、ローマ神話が題材と言うわけにはいかないんですよね。  また、アンプロシアとネクタルに関して。アンプロシアがチョコレートであるという設定は、わたくし独自のものです。本当は、アンプロシアが具体的にどのようなものかは、ギリシャ神話でも分かっていません。お粥のようなものだったり、ザクロの実という言い伝えがあったり・・・・・、これも定かではありません。“諸説あり”なんです。  ただ、チョコレートはラテン語で“神の食べ物”と言われているので、わたくしはチョコレートがしっくりきました。ギリシャ神話にチョコレートは出てこないのですが。  ネクタルも、赤ワインであるとは限りません。ミード(ハチミツ酒)がネクタルのモデルだったり。わたくしがしっくりきたので設定を変えているだけです。  でもまあ、ギリシャ神話に限らず、神話や歴史は本当に“諸説あり”ですからね。実際がどうかは気にせず、この物語はこの物語として、楽しんでいただければと思います。  目次3の“円盤投げ”で、アポロンが「嘘にも真実にも、僕は興味ない」と言いました。あの台詞はわたくしの気持ちでもあります。この作品の中では、筆者と読者が物語を通じて一緒に遊べれば、それでいいと思ってます。  ただ、ちゃんと調べて書いている内容もありますよ。ゼピュロスが蝶に変身できる設定にしてあるのは、実際にミドリシジミというチョウの仲間が、別名“ゼピュロス”であることに由来していますし。  あとは、ジルコンという宝石が別名“風信子石(ヒュアキントス)”だったり、ヒヤシンスの花言葉が“悲しみを越えた愛”だったり・・・・・ヒュアキントスのことばかりですね。  ヒヤシンスを漢字にすると、風を信じる子と書きます。このことから、ヒュアキントスはゼピュロスと和解していたんじゃないかなと想像してみたり・・・・・。  私の思いが、作品には詰まっています。「実際は違う!」とか難しいことは考えず、物語として受け取ってください。  それから、アンプロシアをイメージしたチョコレート、作りましたよ。ピクシブに画像をアップしています。エブリスタでは、“エピローグ”の挿し絵にもなっています。  でき上がったその日に父に見せると、文字入りの板チョコのうち大きい方を指して、「これ、なんて書いてあるの?」と聞かれました。  ラテン語で“ヒュアキントス”だけど、自分の書いている小説のキャラクターの名前だと言いづらいので、「ラテン語でヒヤシンスだよ」とだけ答えました。ヒュアキントスと花のヒヤシンスは同じスペルなので、嘘はついてませんし。  父は「ふうん」と、素直に納得していました。  自分が工夫した点に着目してくれたことと、それでも深くは追及しないでいてくれたこと、両方嬉しかったです。  チョコレートと一緒に、ネクタルをイメージしたワインもプレゼントしました。こちらも写真に一緒に写しています。  ラベルがぼやけているし、半分隠れてしまっているけど、“王様の涙”という商品名です。神々の王ゼウスや、スパルタ王やその先王など、王様がいっぱい登場するこの物語に合っているような気がしたのです。デザインも豪華だったし。  ただ、すごく高級なワインではないかもしれません。高級なワインは、瓶の底のくぼみが深いですから。  でも他に見たワインはシンプルなので、自分はアンプロシアと一緒にするなら、華やかなこちらのほうが好きです(笑)  チョコレートはもともと好きだし、ワインはいつもはビールを飲む父からすれば新鮮だしで、喜んでくれましたね。  父の日おめでとう。お父さん、いつもありがとう。  不老不死になれる、神の食べ物アンプロシアと神の酒ネクタル。本物ではないけれど、元気に長生きできますようにと、願いは込めています。  ちなみに、マイケルくんは「パパさんに」と、黄色いバラの花束を買ってきてくれました。  六月といえば、父の日の他にもう一つ。アポロンとヒュアキントスが結婚した回を投稿したのが今月となれば、彼らはジューン・ブライトということになりましょうか。(あえて“ブライト”です。ゲイは“輝く”という意味もあるので、同じく輝くという意味の“ブライト”と掛けました)  おふたりも、いつまでもお幸せに。  続きまして、マイケルくんに次回予告をしてもらいましょう。  こんにちは。アシスタントのマイケルくんです。  ヒュアキントスのお話はまだまだ続きますが、崎先生は思いついた順番に、先にガニュメデスの話を書こうと思います。  ただし、先生は一つのお話を全部書き終えてから投稿するので、次の更新は遅くなることがあります。期待しすぎない程度に、期待して待っていてください。  みずがめ座の少年ガニュメデスと  みずがめ座の守護星獣わし座のアクイラの  『暗黒のロマンス』  お楽しみに!

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