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第一章・3
秀也は、改めて写真を眺めた。
淡い色のくせっ毛に、明るく笑う口元が、少しやんちゃな印象だ。
顔立ちはやや彫りが深く整っており、申し分のない美少年。
ただ、その体つきは親に似て華奢でやせ型だった。
「宮園 茉理、か」
何て呼べばいいんだ?
突然、弟ができるなんて!
秀也は、鏡を見た。
マッシュショートの黒い直毛に、一重まぶたの目。
父に似て高い身長に、がっしりした骨格。
「……全然、似てないじゃん!」
これで兄弟とは、片腹痛い。
「まぁ、いっか」
別に、無理して兄弟にならなくてもいいんだから。
ただ、父の再婚相手の連れ子。
そう割り切れば、いいだけの話。
秀也は写真をデスクの上にぽいと投げると、後はベッドに転がった。
今夜はもう、勉強をやる気も失せていた。
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