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第二章・4

「ダメだ」 「秀也兄さん」 「やめろ」 「大好き♡」 「ん、むむむぅ……」  息継ぎしながら拒んで見せた秀也だが、茉理とのキスはあまりに心地よかった。  柔らかな唇、滑らかな舌、温かな咥内。  気が付けば、夢中で唇を合わせていた。  キスを終えた茉理は、上気した頬をさらに赤く染めながら恥ずかし気にTシャツを脱ぐ。  白い肌があらわになり、秀也は眼がくらんだ。 「あんまり慣れてないから、優しくしてね」 「慣れてない、って」  その割には、見事な襲い受けだ。  しかし、茉理のその言葉に秀也はのぼせた頭で考えた。 (ということは。少し乱暴にすれば、嫌になって離れるかもしれない)  なにせ相手は弟なのだ。  秀也にはまだ、わずかに理性が残っていた。 (弟と関係持つなんて、やっぱりダメだ) 「後悔しないな?」 「しないよ」  じゃあ、いくぞ。と、秀也は茉理に覆い被さっていった。

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