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第二章・3
「解った。過去のことは、水に流そうじゃないか。だけど、もう俺で一人エッチするのはやめろ」
「うん。だって、目の前に本物がいるんだもんね!」
あれよあれよという間に、秀也は腕を引かれて茉理にベッドへ押し倒された。
「ね、兄さん。僕とエッチしようよ」
「しねえよ!」
何で? としおれる茉理の仕草に、秀也はドキリとした。
(可愛いじゃねえか、この野郎!)
「僕、写真で兄さんのこと見て、一目で好きになっちゃった。お願い。僕のこと、抱いて」
「ま、待て。俺たちは、兄弟なんだぞ?」
「血は繋がってないじゃない」
潤んだ茉理の目線が、秀也を捉えた。
頬に、手のひらが添えられた。
(やばい。やばいやばいやばいやばい!)
心の中で絶叫しながらも、唇は茉理とキスしていた。
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